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ベルリン 今も残る「壁」の現実

2014年11月09日

 9月下旬のベルリン・マラソン前日、車輪付きの靴でスケートのように滑走するインラインスケートのマラソン大会があった。支局の前に架かる橋のたもとで見物していたら、若い女性が目の前でバランスを崩し、少し先で転倒した。

 見ると、橋げたと道路の接ぎ目の金属部品がずれていて、高さ1~2センチの段差がある。車や自転車なら問題ないが、インラインスケートだと油断できないようだ。手を広げてバランスを取ったり、華麗なステップでまたいだり。ジャンプで跳び越える元気者もいる。

 ヒヤヒヤしながら見守るうちに気付いた。ここって、まさにベルリンの壁が立っていた場所じゃないか。

 壁は1989年11月に崩れた。日常生活で意識することはほとんどないが、「ドイツはいまだに東西に分かれている」と考える国民は6割もいる。経済格差や心のわだかまりといった「壁」は消えていない。

 秋晴れの下、スケーターは次々と壁跡の段差を越えていく。軽やかに、でも、ちょっとだけ注意して。その光景は壁の崩壊から25年の現実に妙にマッチしていた。(宮本隆彦)

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