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パリ 仏流の歳末助け合い

2015年01月14日

 パリのあるスーパーに入った時のこと。突然、入り口で男性にポリ袋を渡された。「ソリダリテです」と。客の多くは当たり前のように袋を受け取っていく。訳を聞くと1枚の紙を渡された。「ここにある物を買ったら提供してください」

 ソリダリテとは「連帯、団結」の意。自分用とは別に購入した菓子や飲料水、缶詰などを、恵まれない人たちに届ける市民運動だ。フランスでは特にこの時期、複数の慈善団体が食料などを届ける活動をする。現金を提供するより、相手の“顔”が見えるような気がした。

 経済危機以降、フランスでも不況が続く。失業率は高止まりし、職業安定所への登録者数は増加する。「仕事も食べる物もありません」。こう訴えながら地下鉄の車内を練り歩く人と毎日のように出会う。冷たいアスファルトに座りながら、金銭を求める人も少なくない。1年で最も華やぐ時期を迎えた街で、困難な生活を強いられる人もいる-。これもまた現実だ。

 チョコレート菓子2箱を袋に入れ、男性に手渡した。わずかだが、少しでも受け取った人の心が温まることを願いながら。(渡辺泰之)

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