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ロンドン テロで封鎖 議事堂で

2017年06月02日

 思いがけず6時間余りも英国会議事堂に閉じ込められることになった。取材で訪れていた3月22日午後、議事堂のすぐ外でテロ事件があり、建物は封鎖された。議員や閣僚、見学者らとともに中庭や大ホールなどを転々と避難することに。

 「この由緒ある言論の府に、暴力の挑戦」。メイ首相がただちに声明を出したが、中にいる1000人近い人々に取り乱す様子はない。「ここには血塗られた歴史があるからなあ」。ふと、避難直前に取材中だった上院議員が漏らした言葉を思い出した。

 議事堂入り口に、清教徒革命指導者として知られるクロムウェルの像が立つ。17世紀に議会が国王の専制政治と対立。約50万人が犠牲になる内戦の末、国王は処刑された。

 第2次大戦中にはドイツ軍の空襲を受け、本会議場が崩壊。「われわれは議会を形成し、議会はわれわれを形成する」。宰相チャーチルはこう言って再建を宣言した。

 夜も更けたころ「10人ずつ外に出てもらいます」との案内があった。行列は2時間ほど続いたが、乱れない。落ち着きは暴力をくぐり抜けてきた長い歴史のなせる業か。 (阿部伸哉)

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