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ロシア・スーズダリ 神聖な区域だからこそ

2018年07月02日

 以前から行きたかった「黄金の環(わ)」と呼ばれるモスクワ北東の旧都市群の一つ、スーズダリを訪れた。想像以上の好印象。世界遺産のクレムリン(城塞(じょうさい))は過度に装飾されず、中世の古き良きロシアをしのばせる。

 ロシアの観光地にしては珍しく、といっては失礼だが、日本人好みのセンスの良いお土産やお菓子も並んでいた。

 クレムリンと並ぶ名所の一つがスパソ・エフフィミエフ修道院。高い壁が囲む敷地内を散策していると「監獄博物館」があった。館内の展示を読むと、エカテリーナ2世の時代の18世紀に監獄が設置され、主に政治犯、思想犯を収容したとある。ロシア革命を経て、ソ連時代も監獄として使われ、第二次大戦時には捕虜収容所になった。

 ロシアでは他にも、宗教施設の中に監獄が置かれた例がある。神聖な区域に「悪い人間」を同居させたのはなぜだろう。

 妙に気になり調べると、世俗から離れた場所にあり、家族や仲間と容易に接触できないからとの説があった。信仰生活の利点が、思想矯正に転用されていたのだ。人が意志を保つということの難しさを物語るようで興味深かった。 (栗田晃)

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