2019年06月28日
ウクライナを訪れて少し迷うのは、ロシア語で話し掛けていいのか、ということだ。ロシアの報道では、両国の対立激化に伴って、ロシア語が迫害されていると伝えられる。
しかし、個人差はあれど、実際訪れると抵抗感はそれほどでもない。首都キエフで街の人の声を聞く際、英語で話し掛けると、逆に「ロシア語で」と言われることもあった。
長年、現地で暮らす日本人に聞いても反ロシア感情の強い西部の一部地域を除き、「ロシア語でも問題ないですよ」とのこと。2つの言語は共通部分も多く、ウクライナ人は意識せずに使い分けているという。
確かに、言葉とアイデンティティーは完全に一致しているとはいえない。今月の大統領選の決選投票で優勢が伝えられる人気コメディアンのゼレンスキー氏も政策は親欧米だが、ショーやドラマ出演では主にロシア語を話す。
それでも政権を取れば、公の場ではウクライナ語が求められる。陣営に取材すると「大統領になれば、きちんと話す」と練習中であることを明かした。言葉がいつ切り替わるのか、発言の中身だけでなく、注目していきたい。 (栗田晃)