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ロシア・サランスク 突貫工事が変えた町

2018年08月17日

 まずいことになったと一瞬、青ざめた。ホテルの風呂場のドアがロックされ、内側に閉じ込められた。ノブとかぎをさまざまな角度にかえ、何度も押した結果、10分ほどして、脱出できた。部屋の入り口のかぎを含めて立て付けの悪さに困った。

 サッカーのワールドカップ取材で訪れたサランスクで、日本代表がコロンビアを破る快挙を成し遂げた前夜のこと。

 人口約30万人で、試合会場となった11都市の中で最も小さい。宿泊施設が不足し、自宅を貸す人が続出。1泊の値段が10万円、20万円と高騰した。

 報道によると、町の平均月収は約4万円。降って湧いた巨大イベントがブームを呼び、町の表情を変えたように見える。スタジアムは新築。道路や川も美しく整備され、既存の建物はペンキが塗り直された。

 私の泊まったホテルは宿泊施設不足から新築されたもの。突貫工事の粗さが客を風呂場に閉じ込めた遠因かもしれない。

 ボランティアで高さ90メートルの展望台を案内してくれた大学生ナスチャさんが、携帯電話の翻訳機能で懸命に町のことを伝えてくれたが、町はもっと素顔を見せてほしかった。 (垣見洋樹)

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