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ニューヨーク 豊かな都の貧しい食

2010年11月10日

 ご飯におかずが入った弁当箱。小学生の息子は昼食用に学校に持って行くが、米国人の子どもには珍しいらしく「何が入っているのか」とたびたびのぞき込まれるという。学校に通い始めたころは「友達のランチと違って恥ずかしい」と食べ残しもあった。

 友達は何を食べているのか。「ニンジンやセロリのスティックとか、ピーナツバターを塗ったパンとか…」。酒のつまみのようだ。

 給食はなく、カフェテリアで昼食を買うこともできるが、ピザとかホットドッグを売っている。「昼食付き」の夏休みのキャンプに参加させても、出てくるのはやはりピザ。小学生に食べさせるメニューかとあきれる。

 西半球の最貧国ハイチを訪れた時、子どもたちは国際支援で煮豆をかけたご飯の学校給食を食べていた。簡素だが、子どもの栄養には気を使っていた。どうして豊かなニューヨークが子どもの食事に無頓着なのか。皮肉な話だ。(阿部伸哉)