2023年01月26日

　人種もルーツも多様なニューヨーカーだが、あえて共通点を挙げれば、総じてテンションが高めということだろうか。「調子はどう？」という定番のあいさつに「Ａｗｅｓｏｍｅ！（絶好調だよ）」と答える人も少なくない。

　個人的には、絶好調と言い切れる日は１年で片手に収まるほどしかないだけに、その前向きさがまぶしい。多くの人にとって気が重い月曜日の朝、子どもを学校に送ると、先生から「ハッピー・マンデー」と呼びかけられた時も若干たじろいだ。月曜からそんなに幸せなのか。

　もちろん、みんなが本当に快調で、週の始まりが楽しくて仕方ない、というわけではないだろう。人々が足早に行き交い、競争も激しいこの世界では、誰もが無意識に心のギアを一段上げているのかな、と思ったりもする。

　雨降りの昼食時、よく行く屋台を訪れると、いつもの行列がなかった。「今日は商売にならないね」と店主に話しかけると、「お手上げだよ」と実際に大きく腕を振り上げ、天井にぶつけて「痛っ」となっていた。ニューヨークで生きるのも、なかなか大変である。　（杉藤貴浩）