2022年07月28日
黒海とカスピ海に挟まれた小国アルメニアはロシア人でいっぱいだ。その大部分は祖国がウクライナを侵攻したことを機に引っ越してきた人たち。
首都エレバンでたくさんの人が取材に応じてくれた。実名で報道するのもOK、顔写真が紙面に載っても構わない、とロシアでは考えられないオープンな対応だ。ロシア警察の手が届かない場所にいる、という解放感があるのだろう。
一部の人は「ロシアによる侵攻」という表現を嫌った。会計士イーゴリさん(27)は「プーチン大統領が勝手に始めた戦争。国際的な批判が国民に及ぶのはつらい」。正しくは「プーチンの戦争」と書くべきだと。
でも反政権活動家ビーカさん(22)は「少なからぬロシア人が侵攻を支持している。プーチンの独断ではない」と逆の意見。祖国に残る人々が政府に逆らわないことがもどかしいようだ。
広大なロシアの大地で「戦争反対」といえば、刑務所にぶち込まれる時代。自分たちの言葉を取り戻そうと、国を捨てた若者たちを見ると切なくなる。言論の自由とは、かくも貴重なものかと思い知らされる。