ドイツ魔女街道の旅「魔女横丁」
2015年6月11日
アイヒシュテット(バイエルン州)も魔女迫害の激しかった町である。1629年には274人に死刑判決が下されている。また、ある被告人女性は一か月にわたる尋問と拷問によって、神を冒涜し、天気を左右し、子どもの墓を暴いたなどの悪行を自供し、45人の共犯者の名を挙げたという。
☆この橋を渡るとアイヒシュテットの旧市街地に入る
741年、宣教師のボニファーティウスはキリスト教布教のためにイングランドからドイツへやってきた。ドイツのキリスト教化は彼の精力的な活躍によるものであった。その彼と一緒にやってきたヴィリーヴァルトはこの地の異教徒を改宗させ、教会を建立した。
☆ボニファーティウスの墓所があるフルダ大聖堂(ヘッセン州フルダ)
☆ボニファーティウスの墓石(フルダ大聖堂)
☆アイヒシュテット大聖堂のヴィリーヴァルト像
☆ヴィリーヴァルトの妹ヴァルプルガの教会もこの町にある。中央がヴァルプルガ。
彼女の名が「ヴァルプルギスの夜」(ブログ10月)の名の由来になったと言われている
アイヒシュテットには「魔女横丁」という通りがある。通りとは名ばかりの狭い路地である。かつて「魔女たち」はこの路地を通って、裁判所に引っ立てられたのだろう。ヴィリーヴァルトが異教徒を制圧して約1000年後、魔女狩りという別な名で人間を排除した歴史がここにある。
☆領主司教の宮殿。今は郡庁舎
☆魔女横丁(ヘクセンガッセ)の看板
☆魔女横丁。今は行きどまりになっている
次回をお楽しみに。
- 西村佑子(にしむら・ゆうこ)
うお座。早稲田大学大学院修士課程修了。
青山学院大学や成蹊大学の講師を経て、現在はモアビートプロモーションの「ドイツセミナー」講師。
これまでに「グリム童話の魔女たち」展(栃木県いしばし町グリムの館)の企画・監修やドイツ魔女街道ツアーの同行講師、
薬草専門誌に連載記事を掲載するなど、ドイツの魔女と薬草にかかわってきた。
主な著書に『グリム童話の魔女たち』(洋泉社)『ドイツ魔女街道 を旅してみませんか?』(トラベルジャーナル)、
『魔女の薬草箱』『不思議な薬草箱』(いずれも山と溪谷社)、『ドイツメルヘン街道夢街道』(郁文堂)など。