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コラム 花紀行

三重県いなべ市「万葉の里公園」のアジサイ

三重県いなべ市「万葉の里公園」のアジサイ

サクラの開花や梅雨入りが非常に早かった今年は、
花の見ごろを探し当てるのが難しくなっています。

花期の長いアジサイなら多少開花時期がずれても楽しめるのではと思い、
三重県いなべ市の「万葉の里公園」へ行ってきました。

いなべ市の北勢町役場や北勢市民会館、北勢図書館など
公共施設が集まる一角にある同公園は、
日本最古の和歌集『万葉集』で詠まれた
150種類の植物のうちの
140種類の植物を植栽しているそうです。

中でも数が多いのがアジサイで、
役場の方のお話では、
現在、2,500株ほどあるとのこと。

↑周辺案内図。
右端の南北に細長い緑の一角が、万葉の里公園です。

以前は、園内に長いローラースライダーがあったようですが、
現在は撤去されています。

↑駐車場のぐるりにも色とりどりの
アジサイが咲いていました。
雨に濡れて、つやつやしています。

↑市民会館のエントランスにもアジサイ。

↑公園入り口。
緑が豊かで、趣があります。

↑散策路のあちこちに、万葉集の歌の案内看板が。
現代語訳も併記してあるので、わかりやすいです。

↑アジサイの歌もありました。
これは橘諸兄(たちばなの・もろえ)が詠んだ歌です。
アジサイの幾重にも重なって咲く様を
「いつまでも」と時に重ね合わせています。

『万葉集』にはアジサイが詠まれた歌が2首あるそうで、
こちらは全20集のうちの第20集(4448首目)に
収録されています。

↑もう1首のアジサイの歌。
こちらは大伴家持(おおともの・やかもち)が詠んだもので、
第6集(773首目)に収録されています。
アジサイの(色の)移り気なところを取り上げています。

↑薄紫色の花が多いエリア。

↑大人の背丈ほどもあるアジサイが両脇から迫ってくる小径。
ちょっと迫力があります。

↑アジサイや木々に囲まれたベンチ。
当日は雨が降っていたので座りませんでしたが、
アジサイに囲まれて、のんびりと森林浴ができそうです。

サルやマムシに注意という看板を見かけましたが、
それほど自然が豊かということなのでしょう。
(一応、用心しておいた方が良いとは思いますが、
当日は全くそんな危険は感じませんでした)

↑青い花やガクアジサイの多いエリア。
全体的にピンク~紫色の花が多い印象ですが、
青い花たちも健在です。 

↑ピンクの花(左)と、紫+ピンクが混在した花(右奥)。
一つの花の中でも色の変化があるのは
初めて見ました。

↑こちらは、白い花びら(装飾花)の芯がピンクの花。
なぜか下を向いていて、奥ゆかしい雰囲気です。

↑淡い紫色の中に、白色がランダムに混じっている花。

↑ウズアジサイ3色。
花びらがころんと内側に丸まって、
かわいらしいですね。

↑中央奥に見える「真花」。

普段私たちが花と認識している部分は、
ガクが発達した装飾花と呼ばれるもの。

アジサイの本当の花は、
装飾花の根元にあるこの「真花」なんだそうです。

↑真花が中央に集まって、
装飾花がそのぐるりを囲むガクアジサイ。

↑ガクアジサイにも様々な色や大きさがあって、
とてもきれいで、見ていて飽きません。

当日は結構強い雨が降り続けていましたが、
ほんの数人ずつでも訪れる人が後を絶たず、
雨でも、いえ、雨だからこそ、見たい花なのだと実感。

傘が、人との距離をとるのに
ちょうど良いということもあったようです。
皆さん、終始穏やかに、楽しげに散策していらっしゃいました。

心おきなく花を楽しめる日々が戻りますように。
新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈ります。

取材日:2021年6月19日

DATA

万葉の里公園

三重県いなべ市北勢町阿下喜3083-1
TEL:0594-72-2200(いなべ市北勢市民会館)
※入場自由

交通アクセス

○公共交通機関
三岐鉄道北勢線「阿下喜」駅から北東に徒歩約20分。
または、JR・近鉄「桑名駅前」から三重交通バスに約54分乗って「北勢庁舎前」下車、東へ徒歩約5分。
◯車
東海環状自動車道・大安ICから国道421号、県道5号経由で、北西に7キロ弱。
※無料駐車場有り(市民会館、図書館と共用)。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。