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コラム 花紀行

名古屋市「農業文化園・戸田川緑地」のタイタンビカス

名古屋市「農業文化園・戸田川緑地」のタイタンビカス

夏も終わりが近くなり、
雨やくもり、晴れ間がめまぐるしく変わる不安定な天候が続いています。

雨に打たれても強い日差しを浴びても、
たくましく強く咲く花「タイタンビカス」を見たいなと思い、
名古屋市の「農業文化園・戸田川緑地」へ行って来ました。

↑園内案内図(方角は、向かって右が北、左が南)。

中川区(北側)と港区(南側)にまたがる同園は
南北約2,500メートル、東西約500メートルと南北に細長く、
その中央を二級河川の戸田川が縦断しています。

多くの花たちに出合えるのは南側の「農業文化園」で、
農業科学館やフラワーセンター、花の丘などがあります。
北側は戸田川緑地中央地区となっていて、
森やこどもキャンプ場、ファミリースポーツ広場などがあります。

↑農業科学館からフラワーセンターへ向かうスロープ。
左側(西)に見えるピンク色の花がタイタンビカスです。
タイタンビカスはスロープの両側に植えてあるのですが、
日当たりなどの関係からか、
東側(向かって右)はあまり花が咲いていませんでした。

↑スロープを上りきったところ。
フラワーセンター前の両脇にもタイタンビカスが咲いているのですが、
この写真ではちょっと遠くて分かりにくいですね。

↑入り口に向かって左側に咲いていたタイタンビカスたち。
白、赤、ピンクの花が見えますね。

↑同じく、右側。

↑次から次へとたくさんの花を咲かせるタイタンビカス。

スタッフの方のお話では、
開花のペースはほぼ例年通りで、
9月いっぱいは楽しめるのではとのこと。

アオイ科フヨウ属のタイタンビカスは、
アメリカフヨウとモミジアオイを交配した宿根性植物で、
暑さに非常に強く、一日花を次から次へと咲かせ続けるそうです。

花の大きさや強さから、
ギリシャ神話に出てくる巨神(タイタン)にちなんで名付けられたようですが、
比べるものがないと、なかなかサイズ感は分かりにくいですよね。

↑大人のこぶしと比べると、これぐらいの大きさ。
直径20センチ以上ありそうです。
(同じフヨウ属のムクゲの花10個分ぐらい?)

↑ピンク色と赤色のタイタンビカス。
花弁がふんわりとしていて大きく見ごたえがある上に、
同じような色でも少しずつ色の出方が違っているものもあり、
見ていて飽きません。

↑咲く前、咲いた後の4態。
左上写真:これから咲きそうなつぼみ。
右上写真:つぼみ(左側)と、花が落ちた後のガク。
左下写真:花が落ちた後のガク。
右下写真:地面に落下した花がら。

小さなつぼみと、
花が終わった後のガクは、
よく見ないと区別がつきにくいですね。

きれいに折りたたまれ、
地面に落下した花がらは、
脱いだ後の上質な着物のように、
たおやかな雰囲気が漂っていました。

園内で、
花の雰囲気がよく似たハイビスカスの仲間をいくつか見かけましたのでご紹介します。

↑上段左はフラワーセンター前、真ん中と右はセンター内、
下段は全てフラワーセンター北の「花と野菜のにじ色農場」で咲いていました。

上段左はフウリンブッソウゲ、
真ん中はハイビスカス・クーペリー(別名:ニシキブッソウゲ=葉に斑入り)、
右は名札がありませんでしたが、ハイビスカス・レッドフラミンゴ(二段咲き)
と推察します。

下段はいずれも品種不明ですが、
あまり見たことのない黄色や八重咲きが見られてうれしかったです。

↑南国ムードが漂うフラワーセンター内の「シダの森」。

フラワーセンター(約1500平方メートル)内は、
中央にある「休憩・展示ホール」をぐるりと囲むように、
「式の花園」「シダの森」「木根と水の部屋」「サボテン畑」と、
4つのテーマごとに常設展示室が設置されていて、
それぞれ趣の異なる植生空間を楽しむことができます。

↑フラワーセンター内で印象的だった花たち。
上段左から、マダガスカルジャスミン、ハマユウ、ヤエサンユウカ。
下段左から、アリストロキア、デュランタ、サンタンカ。

かつては温室だったため熱帯性植物が多いフラワーセンターですが、
現在は温室用の空調が行われておらず、冬は低温になることもあるそうです。
今見られるのは、そんな環境でも順応して生き残っている植物たちとのこと。
ちょっと親近感がわきますね。

↑フラワーセンター脇に咲いていた
ジャカランダ(ノウゼンカズラ科・中南米原産)の花。

ホウオウボク、カエンボクとともに、
「世界三大花木」に数えられるジャカランダは、
一般的に5月下旬~6月に開花するそうですが、
この木は夏の終わりにも若干の花を咲かせるそうです。

高いところで咲くことが多いようで、
見られたら少しラッキーな気分になれるスポットです。

↑フラワーセンターの近くで見かけた印象的な花たち。
左から、
チョウマメ(花と野菜のにじ色農場内)、
ショウジョウソウ(農業科学館とフラワーセンターの間)、
プルメリア(フラワーセンター入り口前)。

園内にはほかにも見どころがたくさんあって、
好奇心のままに、どんどん歩みが進みます。

↑夏の花サルスベリと、秋の訪れを告げるパンパスグラスの競演。
ああ、夏も終わるんだなあと実感する組み合わせです。

↑季節ごとに花の植え替えが行われる「花の丘」。
コキアとジニア(ヒャクニチソウ)、コリウスが
鮮やかな点描を描いていました。

↑最南にある第1駐車場近くの産直施設「陽だまり館」。
すぐ前の花壇には色々な宿根草が植えられており、
フェンネルやオミナエシが花盛りでした。

下段左は、フェンネルの花を食べるキアゲハの幼虫。
真ん中は、同じくアカスジカメムシ。
どちらもファッショナブルな装いで、
うわ~と思いながらも、思わず見てしまいます。

それにしても、フェンネルは虫たちに人気があるんですね。

下段右は、オミナエシ。
花はフェンネルによく似ていますが、
黄色の濃さや、花の付き方が違います。

↑ほかにも、お食事中の虫たちが。
左は、ジニアの蜜を吸うセセリチョウ。
真ん中は、クガイソウの蜜を吸うクマバチ。
右はノコギリソウの蜜を吸うベニシジミ。
(いずれも品種等は推定です)

農業科学館の周辺では、
爽やかな色合いで涼しさを感じさせてくれる
こんな花たちも咲いていましたよ。

↑タマアジサイ(推定)。
つぼみが、総苞に包まれた球形であることが名前の由来。
開花期は一般的なアジサイより遅く、7~9月とされます。

花の形状は、ガクアジサイを小ぶりにしたような感じ。
はかなげで、見ていて優しい気持ちになりました。

↑タヌキノカミソリ(推定)。
ナツズイセンによく似ていますが、
花びらの中央に赤紫色の筋が見えるため、
タヌキノカミソリではないかと思った次第です。

色合いは涼しげなんですが、
威勢のよさも漂わせていて、元気をもらいました。

夏から秋へ移り変わる間の時期ではありますが、
大きくて強いタイタンビカスだけでなく、
たくさんの花たちに出合うことができた1日でした。

今回は興味の赴くままにふらふらと回りましたが、
まだまだ見落としている花たちがたくさんありそうです。

次回はもっと時間をかけて、計画的に回ろうと思います。

心おきなく花を楽しめる日々が戻りますように。

取材日:2022年8月27日

DATA

農業文化園・戸田川緑地

名古屋市港区春田野2-3204
TEL:052-302-5321
※入園無料
※農業科学館、フラワーセンター、とだがわ陽だまり館、花と野菜のにじ色農場は午前9時~午後4時半開館、毎週月曜と年末年始休館。

交通アクセス

○公共交通機関
JR春田駅から南陽巡回バス(右回り)にて「戸田川緑地」下車すぐ。
または、地下鉄名港線「東海通駅」または東山線「高畑駅」より市バス「河合小橋」行きに乗り、「南陽支所」下車、北へ徒歩約5分。
◯車
名古屋高速(5号万場線)千音寺ICから南へ約5km。
※無料駐車場有り(5カ所、計1,101台分、イベント開催日は有料になります)。

取材担当プロフィール

まころーど
名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。