まだまだ暑い日が続きますが、
少しずつ夕暮れどきが早くなり、
朝晩涼しく感じられるようになってきました。
ふと、
広々とした自然の中で、
早秋ならではの花を見たいと思い、
岐阜県中津川市の「椛の木自然公園」へ
ソバの花を見に行って来ました。
標高約560メートルのところにある椛の湖は、
1958年に竣工された農業用のため池(外周約2キロ)で、
近隣にハナノキ(本州中部の山間の湿地に自生するカエデ科の落葉高木)
の群生があったことが名前の由来といわれています。
周辺は自然公園になっていて、
湖畔の南側にはオートキャンプ場があり、
そこから東へ少し進んだところにソバ畑が広がっています。
↑県内有数の広さを誇るソバ畑。
日が当たっているところは一面、
ソバの花で真っ白になっており、
ちょうど見ごろのようでした。
例年、
花が満開になる9月中旬から下旬にかけて
「そばの花まつり」が行われるそうですが、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、
今年も含めてこの3年は中止が続いています。
作付け面積は、
最大で6ヘクタールほどあったそうですが、
コロナ環境下では3ヘクタールに減らしているそうです。
↑北東方向を見たところ。
周囲の山々が借景となって、
何とものどかな雰囲気が漂います。
↑畑のぐるりには、
ヒザからスネぐらいの高さに
二重線が張り巡らされています。
案内板に、
イノシシなどの獣害からソバの花を守るために、
電気柵が設置してある旨の説明があります。
うっかり触ってしまわないよう、
注意が必要です。
↑北東側の、少し高低差のあるエリア。
↑南東方向の山並みと。
白くて小さなソバの花が、
カスミソウのようにも見えます。
↑正面に山、左右にソバ畑が広がる農道を歩いていたら、
初めて来た場所なのに、
何だかちょっと懐かしいような
不思議な気分になりました。
↑白い花の群れの色を分ける、日の光と影。
印象派の絵にありそうな風景ですね。
↑針葉樹(ヒノキかな?)の深緑と、
ソバの花の白のコントラストがとてもきれいでした。
↑ソバの花に少し近付いてみたところ。
↑さらに近付いてよく見てみると、
花びらの色や形状はみんな同じなのに、
オシベが目立つ花と、
そうでない花があることに気が付きました。
↑先端が赤いオシベが目立つ花(左)と、
そうでない花(右)。
調べてみると、
ソバの花は、虫が花粉を運んで受粉する虫媒花ですが、
雄花と雌花ではなく、
オシベが長くメシベが短い「短柱花」と、
オシベよりメシベの方が長い「長柱花」があるそうです。
短柱花なのか長柱花なのかは株ごとに決まっていて、
それぞれオシベもメシベも持っているのに、
短柱花同士、長柱花同士では受精しないため、
虫たちの手助けが必要となるのだそうです。
こんなに小さくて可憐な花なのに、
複雑なシステムに則って生を全うしているんだなあ、
と妙に感心してしまいました。
足元に目をやれば、
あぜ道にも素朴な野の花たちが慎ましやかに咲いていました。
↑左上から時計回りに、
アカツメグサ、ハキダメギク(コゴメギクかも?)、
ヒメジョオン、ワルナスビ(いずれも推定)。
↑左から順に、
オオバコ、シロバナツルボ、ハルタデ(いずれも推定)。
花に誘われて虫たちも、
ヒラヒラ、ブンブン、スイスイ、飛び回っていました。
↑左上から時計回りに、
ツマグロヒョウモン、スジグロシロチョウ、
ヤマトシジミ、イチモンジセセリ(いずれも推定)。
↑左上から時計回りに、
アキアカネ、ミツバチ、
ナナホシテントウ、ニジュウヤホシテントウ(いずれも推定)。
結構たくさんの種類の虫たちが見られたな~と思っているところに、
頭上に気配を感じたので見上げたら、
大きな鳥が円を描きながら降下してくるところでした。
↑トビのようですね。
普段こんなに間近で見ることがないので、
ちょっとドキドキしてしまいました。
トビは
100メートルほど離れた空き地に着陸して、
トコトコと少し歩いた後、
つと飛び立って、
グルグルと大きな円を描きながら上昇していき、
山の方に消えていきました。
快晴とはいいがたい天候でしたが、
ぐるりを取り囲む山並み、
真っ白で可憐なソバの花畑、
伸び伸びと飛び回る美しい虫や鳥たちを見ていたら、
とても爽やかで穏やかな気分になれました。
椛の湖自然公園の近くには、
道の駅きりら坂下(国道256号沿い)と
道の駅賤母(しずも/国道19号沿い)があり、
周辺の観光情報の収集や産直野菜、お土産を探す楽しみもあります。
中津川市には
道の駅が全部で4つあるそうなので、
次に訪れるときには、
ほかの2つにも寄れるよう計画しようと思います。
心おきなく花を楽しめる日々が戻りますように。
取材日:2022年9月17日
椛の湖自然公園
岐阜県中津川市坂下2138-11
※椛の湖オートキャンプ場(岐阜県中津川市上野589-17)から東へ約350m
TEL:0573-75-4444(やさか観光協会)
※入園無料
交通アクセス
○公共交通機関
JR中央本線「坂下駅」から中津川市・坂下地区コミュニティバスに乗り、「樺(かば)の木」下車、南西へ徒歩約10分。
※坂下地区コミュニティバスは7路線ありますが、運行は月~金曜でそれぞれ本数が非常に少ないので、ご利用の際は中津川市の 公式ホームページ などでご確認ください。
※問い合わせTEL:0574-75-2111=坂下総合事務所
◯車
中央自動車道・中津川ICから国道19号、同256号経由で北東へ約19km。
※無料駐車場有り(未舗装、ソバ畑に隣接)。
- まころーど
- 名古屋生まれ、名古屋育ち。
季節の移り変わりを観察するのが大好きなアラフィフ世代。新聞記事制作や、出版社にてガイド本等の制作経験あり。
現在は、旅や町ネタに関する記事を執筆しています。観光や販促のお手伝いも。