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ロンドン 24時間後の対応では

2009年05月26日

 深夜、自宅ドアをノックする音で起こされた。「水漏れだ。天井から」と階下の住人。築100年以上の集合住宅である。すぐに「プラマー(配管工)」を呼び、修理してもらうことにした。故障が多い英国暮らしで必須と教えられた単語だ。

 ところが「24時間対応」のはずが、1日待っても現れない。電話で催促すると「手が離せない別の修理ができた」。階下は「だんだんひどくなってきた」と泣き声だ。

 修理は翌日午後、ゆったりと終わった。費用も安くない。修理はいいビジネスだ。もし日本流に即対応を売り物にすれば、もっと繁盛するだろう。集合住宅の管理人にそうぶちまけると反論された。

 「プラマーに就くのは時間に縛られたくない人だから、即対応なんて無理さ」。実際、忙しい金融街シティーの銀行員から転職する人もいるそうだ。「住人の側も慌てないことだ。古い建物を修理して住むのを趣味にすれば楽しいぞ」

 (松井学)