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ソウル 「始まり」は学びたい

2012年06月13日

 韓国には「始まりが半分だ」ということわざがある。とにかく始めさえすれば、半ば成功したようなものだとの意味だ。ことわざ通り、当地にはチャレンジ精神が旺盛な人が多い。

 例えば政治。4月に行われた総選挙では、ふるさとの選挙区から都会の激戦区や、対立陣営が強い選挙区への「お国替え」がひんぱんに起きた。

 既得権を捨て、あえて厳しい戦いに挑むことで政治への決意を示し、有権者の共感を集めようとの狙いだ。

 かつて国会議事堂があったソウル市鍾路(チョンノ)区を「政治一番地」と位置付け、与党・セヌリ党、最大野党・民主統合党の大物候補が激戦を繰り広げた。

 李明博(イミョンバク)大統領も故盧武鉉(ノムヒョン)大統領も、1990年代にここで立候補して当選し、将来の大統領候補としての一歩を踏み出している。

 中堅議員の1人は、今回の総選挙への出馬を見送った。出馬すれば当選の確率は高かったろうに、なぜ? 選挙後に話を聞いてみると、政治をやめるのではなく、世界を回ってもう一度勉強をし直すのだという。

 ダイナミックな挑戦の数々。優柔不断な記者も「これからは『始まりが半分だ』の精神でいこう」と決心する。ただ、挑戦の対象はゆっくりと考えてから、そのうち決めようと思う。 (篠ケ瀬祐司)