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ワシントン 一色には染まらない

2014年08月15日

 数1000人が集まっているだろうか。土曜日の夕方、出張から戻ると、ワシントンにある自宅アパート周辺は虹色の旗を持った群衆で埋め尽くされていた。同性愛者など性的少数者への差別をなくそうと、毎年行われているパレードの見物客だ。

 ド派手な衣装の集団だけでなく、パレードにはさまざまなグループが参加。Tシャツ姿の年配の人たちは「同性愛者の息子を誇りたい」とボードを掲げて歩き、同性愛を規制する法律を作ったロシアのプーチン政権に「僕たちを忘れないで」と訴えるロシア系住民もいた。

 ここでは、虹色は1つの色に染まらず多様な生き方を許容するメッセージだ。見慣れた飲食店も店頭に大きく虹色の旗を掲げ、大手銀行はマーク入りの虹色の小旗を大々的に配った。

 全米各地で行われるこの種のパレードへの参加要請を全て断ってきた米軍が、初めて旗手ら8人を公式に参加させたことは翌日の新聞で知った。

 スーツケースを手にしたまま熱狂を見ていると、突然若者が「君も誇りを持って生きて」と虹色のバッジを売り付けてきた。1つ買ってささやかながら支持を表明した。(斉場保伸)