2015年10月01日
日本の家族や友人から、ただただ「暑い」と悲鳴が寄せられていた8月初め、自宅の郵便受けに、1通の封書が届いた。以前、心ばかりの善意を振り込んだ慈善団体から、あらためての寄付のお願い。「お礼の気持ちです」と同封されていたのは、クリスマスカードだった。
最高気温もせいぜい25度。すっかり秋のようなロンドンだけれど、クリスマスを思うにはまだ早い。カードは棚にしまったが、ある日、デパートに立ち寄って、「早すぎ!」とのけぞった。上階のフロアに、クリスマスの売り場が華やかにオープンしていた。
「人々の信仰心が薄くなって、クリスマスは年々商業化してきた」と英国人の友人は言う。ある社会調査によれば、自分を「無宗教」と考える人はこの20年で2割ほど増え、今や英国民の半数。部屋を飾り付け、家族でプレゼントを贈り合うイベントとなれば、小売業界が鼻息を荒くするのも納得だ。
まだ物色するだけと思いきや、早々とツリーの飾りやパーティー用品を買っている客が少なくない。あと4カ月。破産者が増えないか心配になる。 (小嶋麻友美)