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パリ 冷めて格別 名誉の味

2019年07月12日

 冷めても香ばしい皮ともっちりした食感に頰がゆるんだ。先日、パリで一番おいしいバゲット(フランスパン)を選ぶコンクールの結果が発表された。今年の最優秀賞に選ばれたのは、パリ東部12区にあるパン屋。店主は元国鉄職員という。

 さっそく店を訪れ、店員に「受賞おめでとう」と声をかけるとうれしそうな笑顔が返ってきた。受賞したのは「トラディション」と呼ばれるバゲット。長さ55~70センチ、重さ250~300グラム、小麦粉1キロにつき塩18グラムを含む。焼きたては標準的なおいしさだったが、冷めた時の風味の良さが格別だった。

 審査はパン職人組合責任者や前年の受賞者、一般公募の市民らが担う。当日朝に焼いたバゲットを午後に試食するという。賞に興味がない店は参加しないため、本当においしいパン屋は他にあるともいわれるが、今年の結果は個人的に納得だった。

 この最優秀バゲット、実は受賞後1年間、大統領府に届ける名誉を授かる。店からの距離は約6キロ。焼きたては食べられそうにないが、これならマクロン大統領も満足だろう。香ばしいパンの端をかじりながら、そう思った。 (竹田佳彦)

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