2019年07月23日
「ええ? 質問は受けないの?」。中南米出身とみられる女性記者が隣の席で驚いていた。巨大経済圏構想「一帯一路」に関する国際会議後に行われた「記者発表会」で、習近平(しゅうきんぺい)国家主席は約15分間の「朗読」を終えて姿を消した。習氏の「記者発表会」はただの「朗読発表会」にすぎない。それを知らずに来た記者に同情した。
この日は「発表会」にたどり着くまでが大変だった。会場は北京郊外の湖畔にあり、参加記者は市内からバスに乗せられる。午後1時に集合場所に行ったが、参加可能記者のリストに筆者の名前がない。前夜に「登録成功」のメールを受け取っていたが、担当者いわく「その後にさらにメールを送った。返信しないと登録は完了しない」と。
確認すると前夜11時にメールを受信していた。だがその前のメールに「登録成功」とある。同じ境遇の記者十数人と共に抗議し、参加が認められた。
午後5時すぎにようやく始まった発表会で習氏は、せき込んだり、読み間違えたりもしたが、朗読が終わると、居並ぶ閣僚が立ち上がって一斉に拍手。「よくできました」という安堵(あんど)の表情にも見えた。 (中沢穣)