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ロンドン 医療 支える側も移民

2019年08月07日

 「あら、お金は払わなくていいのよ。お大事にね」

 ロンドンの救急病院で診てもらった後、受付で財布を取り出すと窓口の女性が苦笑した。英国では公的医療機関での診療は原則無料。それを忘れていた。

 税金を原資にした英国の「NHS」(国民保健サービス)制度。第二次大戦後、「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家を目指して生まれた。長期滞在の外国人も保険料を払って利用する。魅力的に思えるが、何かと移民問題に結び付けられる。

 「移民の流入に伴う受診者の増加がNHSの財政を圧迫している」「病院を利用したくても予約待ちで受診できない」。一部の国民はこんな理由で移民流入阻止を訴える。ほぼ満席の救急病院の待合室は確かに東欧系や中東系の人たちが目立ち、発熱でぐったりして長時間待つ患者もいた。

 自分が英国人だったらどう感じるだろうかと考えていると、診察室へ案内された。その時、看護師の「ドクトル」という言葉で彼女も移民だと分かった。英国の医療現場は移民たちに支えられてもいる。そんな貢献への理解が広がればと思う。 (藤沢有哉)

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