2022年12月23日

　米国のファストフード店やコーヒーチェーンでテイクアウトを頼むと、必ずといっていいほど「名前は？」と聞かれる。商品の受け渡しの際にスタッフが客の名前を呼ぶためだ。

　私の場合、「としのり」という名前の発音が米国人に難しいようで、「オシノリ」や「ヨシ」と言われ、うまく聞き取ってもらったためしがない。名前をちゃんと呼んでもらえないのは意外とストレスがたまる。

　注文で自分の名前を何度も繰り返す私を見かねてか、会社の米国人スタッフが「ニックネームをつくったらどうですか？」と提案してくれた。確かに一緒に働く先輩記者の「みちお」さんは、「ミッチ」という愛称を浸透させてさっそうと仕事をしている。スタッフにいくつか案を考えてもらい、名前を短くした「Ｔｏｒｉ（トリ）」を使ってみることにした。

　すると、お店で確実に名前を聞き取ってもらえるようになり、注文するのも楽しくなった。最初は「ニックネームなんて米国かぶれみたい」と敬遠していたが、必要な理由があるんだなと妙に納得。ただ、まだ気恥ずかしくて、注文以外では愛称を使えていない。　（浅井俊典）