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ウクライナ・チェルノブイリ アドベンチャー気分

2019年12月16日

 かつての民家は床が朽ちて木々に覆われていた。33年前に旧ソ連(現ウクライナ)のチェルノブイリ原発で起きた爆発事故で立ち入り禁止区域になった村。廃虚には家族写真や家財道具が残されたままだ。

 チェルノブイリ原発ツアーに参加した。事故処理と原因追及に挑む科学者や作業員らを描いた米ドラマが今春に公開されて話題を集め、主に欧米からの観光客が増加した。

 爆発した4号機に近づくと、事故後に建設された石棺を覆う新たなシェルターが見える。2000年にほかの原子炉が停止され、終わりの見えない廃炉作業が続く。やりきれない気持ちになったのは、この光景を東京電力福島第一原発に重ね合わせたからだけではない。

 原発近くで放射線の線量計の音が鳴りだすと、観光客は興奮気味にスマホで周囲を撮影。廃虚巡りはツアーの目玉だ。女性ガイドは事故を隠蔽(いんぺい)した旧ソ連を繰り返し非難した。

 ウクライナでは今も原発が稼働中。欧米や日本も同じだ。アドベンチャー気分の観光客に「どこか人ごとだな」と思ったが、その思いは自分自身にも向けられていた。 (奥田哲平)

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