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ソウル 保守系でも「民衆の歌」

2020年01月27日

 「怒れる民衆の歌が聞こえるか、再び奴隷のようには生きないと叫ぶ声」(韓国語歌詞)

 支局のあるソウル市中心部で開かれていた集会から、日本でもおなじみのミュージカル「レ・ミゼラブル」の名曲、「民衆の歌」が流れてきて驚いた。保守系の集会だったからだ。

 韓国では、チョグク前法相の家族への検察捜査などを巡り、賛否それぞれの集会が毎週のように開かれている。朴槿恵(パククネ)前大統領を弾劾に追い込んだ「ろうそく集会」の経験者らが主導して検察批判を続ける革新系、左右の対立を激化させた文在寅(ムンジェイン)政権退陣を求める保守系、いずれの集会にも欠かせないのが音楽だ。

 革新系ではフォーク系の歌手やK-POPに乗って踊る若者が登場。保守系では中高年が好む少し昔の明るい歌が大音響で流れる。歌を聴くだけでどちらの集会か区別がつくほどだが、「民衆の歌」は三年弱前の「ろうそく集会」でよく流れた。

 「保守系の集会で?」と考えてはたと気付いた。歌は、圧政に蜂起したパリ市民が政府軍と衝突する場面で歌われる。政権が代わり、今や“圧政”に苦しむのは保守系の人々、という主張なのだろう。 (境田未緒)