2020年05月29日

　「あなたは日本から来たんですか？」

　先日、ロンドン中心部の衣料品店で男性店員に声を掛けられた。年末からのセールが続いていた時期。繁華街では、大勢の中国人が買い物袋を抱え、母国の経済力をうかがわせていた。いくつかの店で「ニーハオ」と挨拶（あいさつ）されたこともあり、男性店員の言葉にちょっと戸惑った。

　自分は日本人だと伝えると、男性店員は「アニメが好きで日本へ行ったことがある」と語り始めた。愛読した原作漫画の名前も挙げ、絵や物語の展開の素晴らしさを口にした。

　アニメ好きが高じて、旅行や留学先に日本を選んだ人に会うことは珍しくない。日本のソフトパワーとして想像以上に強力だ。昨年秋には、「ポケモン」ショップが期間限定でロンドンに開店すると、連日前夜から行列ができる盛況ぶりだった。

　１月からは、日本で昨年夏に公開された映画「天気の子」が上映され、地下鉄駅でも大きなポスターを見掛ける。英メディアの批評は「とても美しい映画だ」などと上々だ。日本アニメの力が輝きを増し、訪日外国人の増加につながればありがたい。　（藤沢有哉）