2020年12月07日
米大統領選取材で中西部ミシガン州デトロイトに出張した。自動車工場で働く白人労働者たちに話を聞くと、「政治の分断」は職場での人間関係など日常の生活にも影を落としていた。
フォード・モーターで機械工として働くネルソン・ウェストリックさん(45)は5月、新型コロナウイルスによる休業から2カ月ぶりに職場に戻った。すると、入社以来、仲良くしてきた黒人の同僚から面と向かって突然「大統領を支持しているなら、あなたも人種差別主義者に違いない」と告げられたという。
ウェストリックさんが参加したトランプ大統領の支持者集会の様子をフェイスブックに投稿し、同僚がこれを見たためだ。5月は白人警官による黒人男性暴行死事件が起き、人種差別の抗議デモが全米に拡大。トランプ氏の差別的な言動に批判が高まっていた。「俺たち24年の付き合いだったのに。どうやってこの溝を埋めればいいのか本当に分からない」と話した。
有権者やメディアを敵と味方に分け、互いの敵対心をあおるようなトランプ氏の政治手法で、長年の友人関係まで切り裂かれてしまうことに何とも言えない怖さを感じた。 (白石亘)