2021年04月14日
ロシアで目を引くのが、1つのサービスに対する労働者の多さ。出張の際、南部クラスノダール地方アナーパから乗った急行列車を例に紹介したい。
6両の列車に対して若い車掌が3人いる。さらに統括役のベテラン車掌に警備員を加えた5人態勢。若い車掌たちは列車が発車すると、車内販売員に早変わりし、コーヒーやスナック菓子、土産品を売り始める。
といっても、乗客は30人ほどしかおらず、客室はガラガラ。車掌兼務の販売員たちは5時間の列車旅で、何度も「コーヒーはいかが」と尋ねてくる。
一方、警備員は自席に座り、顔見知りの客らと談笑をしている。テロ防止の目的と言うが、このローカル線に警備員が必要なのか…。
ロシアには「働かざる者、食うべからず」ということわざがある。就業率も高い。車掌の数を減らせば、列車の運行コストを抑えられそうだが、それはお国柄に反するのだろう。
終点の駅では、深夜にもかかわらず1つのホームごとに2、3の売店が営業中。商品の品ぞろえもまったく同じ。ロシア流の手厚いサービスに圧倒されてしまった。 (小柳悠志)