2021年04月21日
江蘇省無錫市は太湖のほとりにある、のどかな産業都市。きれいに舗装された道路に沿ってたくさんの桜の木が並び、遠くに見える小高い山の山肌もうっすらとピンクに色づいている。
「きれいでしょう。日本から持ってきた苗木を植えたんだ」。タクシーの運転手は私が日本人だと分かるとうれしそうに「植えたばかりの時は細い木ばかりだったが今はこんなに立派に成長した」としゃべり続けた。
1987年、日本人の有志が桜の苗木を無錫市に贈呈したことで交流がスタート。34年の活動を通して市内の景勝地に植えられた桜は3万本に上る。
私は尖閣問題で日中関係がこじれた2012年にも無錫市を訪れたことがあるが、地元の経営者に「反日デモに参加する中国人もいるが、私は日本を変わらず尊敬している」と言われたことが印象深い。長年の民間交流が築いてきた関係は強靱(きょうじん)だ。
ただ、新型コロナウイルスの感染は交流活動にも影響し昨年は中止。今年も日本在住の有志メンバーは参加できなかった。国際政治の緊張が高まっている今、国境を越えた移動が早く自由になり、民間交流が再開することを切に願う。 (白山泉)