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ロンドン 優しさに胸「打たれた」

2021年06月14日

 ロンドン西部で5月中旬、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた。ホテルの宴会場に10ほどのブースがあり、1列に並んだ来場者が順番に案内される仕組み。「工場の流れ作業みたいな感じかな」。会場を見回して、そんな印象を受けた。

 1、2分で空きブースに案内されると、看護師たちからアレルギー反応の経験の有無などを聞かれた。次は、発熱や接種部位の痛みといった副反応事例の説明。日本人の私に説明者の口調は終始ゆっくりで、別の看護師は難しい言葉をたびたび簡単な表現で言い直してくれた。

 接種が終わると、背後から「いい日になりましたね。気分はどうですか?」との声が。接種後は体調が急変しないかを確認するため、場内に15分ほどとどまるのがルール。声の主のボランティア女性は来場者を待機場所へ案内しては、異常がないかを尋ねて回っていた。

 スタッフの思いやりある応対は当初の予想と正反対だった。だが、副反応への懸念の方は的中。翌日に発熱し、接種した左腕は上げにくい状態に。接種後に備えて買った飲み物や軽食を口にしつつ、ほぼ丸1日布団の中で過ごした。(藤沢有哉)