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英コーンウォール 国中のデモ隊も集う

2021年07月16日

 「ここに、生物の多様性が眠っています」。英南西部コーンウォールで電車を降り、歩き始めてから5分ほど。民家の庭に墓石を模した置物が並んでいた。墓標に記された他の“死者”の名前は「希望」や「ホッキョクグマ」など。先進7カ国首脳会議(G7サミット)の地元開催に合わせ、気候変動への対策を求めた住民の抗議運動だった。

 6月中旬の3日間の期間中、現地には国内各地の抗議団体も集結。私が通った国際メディアセンター周辺も、ひっきりなしに抗議活動が繰り広げられた。

 白装束姿の数10人は無言で行進し、気候変動が生命を脅かしている状況を表現した。海上にはカヌーの船団が展開し、「海を救え」と書いた旗が翻った。政府軍との戦闘が続くアフリカ、アジア各地域の旗を掲げ、「今、行動を」と戦闘停止への支援を求める一団もいた。

 英本土のほぼ南西端での活動にはお金や時間がかかったはず。だが、周囲に印象づけようという演出と真剣な表情は、各国メディアや住民の人垣を作り出していた。そんな彼らの熱意が、G7首脳にも届いていたら良いのだが。 (藤沢有哉)