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ロンドン 船便荷物に心温まる

2022年02月09日

 日本からの船便の引っ越し荷物数10箱が今月、ようやくロンドンの自宅に届いた。東京のアパートから荷出しをしたのが8月下旬。実に3カ月半ぶりだ。

 運送業者からは「欧州向けは寄港先が多く、新型コロナウイルスの影響で荷役が滞っている」と説明を受けてきたが、到着予定がどんどん遅れてやきもきしていたので、年内に届いてほっとした。

 暖かい冬物衣類や本、薬、日本の質の高い生活雑貨や日用品などは待ち望んでいたのでうれしかった。でも、1番ありがたかったのは取材先や同僚、友人からの餞別(せんべつ)の品々の箱を開けたとき。アロマキャンドルや造花のブーケ、サプリ、布マスク…。コロナ禍の海外赴任や英国の陰鬱(いんうつ)な気候を心配し、励ましてくれた1人1人の顔や言葉を思い出して、胸が熱くなった。

 船便到着と同時に、同僚の奥さんから思いがけない日本食材の国際郵便も頂いた。英国は食料品の輸入規制が厳しく、自分で船便に詰め込むのはほぼ諦めたが、あれこれ工夫して選んでくれたとみられ、じんときた。

 日が短く、冷たい雨の日が続く英国の冬だが、心は少し温まっている。 (加藤美喜)