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中国・黒河 蜜月関係は儲け次第

2023年06月15日

 ロシア国境の黒竜江省黒河市には中国の観光客向けにロシア産品を売る店が並ぶ。「土産を買うなら友達の店を紹介するよ。何でも安い」。チャーター車の運転手に薦められるまま小さな店舗に入ると、チョコレートや酒などが全て割高。一杯食わされた形だが、手ぶらでは帰れない。氷点下15度の見知らぬ町で、運転手を敵に回すのは不安だ。

 店内を見渡すと、ブッシュ元米大統領のマトリョーシカが目に入ってきた。開けるとクリントン氏が出てくる。「古くないですか」と聞くと店主は「売れないからずっと置いてある。全部買い取ってくれ」と吹っかけてきた。新型コロナウイルスの影響で商品の仕入れも難しく、町も疲弊しているようだ。「昨年はロックダウンで8カ月も休業した。ロシアとの往来が戻らないと厳しい」と嘆いた。

 市の中心にあるロシア産品の大型専門店には、ある程度客がいた。「ロシアの農地は栄養豊富」と書かれた棚にベトナム産のジュースが並び、女性店員が「おいしいよ」と北海道産のお菓子を薦めている。儲(もう)けが出なければ「蜜月の関係」も脆(もろ)いものだと感じた。 (白山泉)