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ソウル 空港で節約!?高齢者

2022年11月15日

 日本訪問を終えて帰国した韓国政府高官の取材のために、足を運んだソウル郊外の金浦(キンポ)国際空港。そこで意外な人たちに気付いた。

 新型コロナウイルス禍で閑散とした、国際線ロビーの一角に並ぶベンチでくつろぐお年寄りたちだ。スーツケースなどは持たず、誰かの見送りや出迎えに来たわけではないようだ。大型テレビで映し出されるニュースを見たり、新聞を読んだりしている。

 真夏の猛暑を避けるため、冷房の効いた空港に来るお年寄りたちが増えている。65歳以上の国民に配られる無料交通カードを使って地下鉄やバスなどを乗り継ぎ、遠方の自宅から1~2時間かけて通う人も少なくないという。

 「飛行機に乗らないのに、空港に来るのがおかしい?」。70代男性が苦笑を浮かべた。物価高騰で電気代がかかる冷房を、自宅で長時間入れたり、一杯5000ウォン(約505円)前後の飲料を買ってカフェで涼んだりする余裕がない年金生活者にとって、空港がオアシスの役割を担っている。高齢者貧困率が先進国最悪レベルの韓国を映す光景を、また一つ見た気がした。 (相坂穣)