2023年01月08日

　普段は立ち入ることも難しいさまざまな文化遺産が無料で限定開放されるフランスの秋の恒例行事で、ナポレオンも学んだパリの軍事学校「エコール・ミリテール」を訪ねた。入場時に屈強な男性軍人による身分証確認があったので、物々しい雰囲気を想像していたが、門をくぐると女性軍人の多さに驚いた。

　会場の整理役や飲食物の販売係、軍馬の調教担当に至るまで女性の姿が目立つ。子ども向け射撃体験の案内役を務める入寮中の女性は「日常生活でも女性の同僚が多いので安心できる」と話した。展示されていた軍人らの携帯食キットにワインの小瓶が交じっていたので説明役の女性に理由を尋ねると、「これは祝祭用の特別なキット。普段から酔っぱらっていたら任務がこなせないでしょう」と、にこやかに教えてくれた。

　仏軍の女性比率は１５％強で、世界でも屈指の高さという。今年５月の内閣改造前までは国防相も女性が務めていた。限定開放時に女性ばかりをそろえたのはコミュニケーション戦略の一環なのだろうが、彼女たちの朗らかな受け答えによって、軍に抱いていたイメージが和らいだことは確かだ。　（谷悠己）