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スパリゾートハワイアンズ

スパリゾートハワイアンズ 福島県いわき市 笑顔が伝える「きづな」

「ウェルカムベビールーム」で元気に遊ぶ子どもたち

「ウェルカムベビールーム」で元気に遊ぶ子どもたち

 足を踏み入れた瞬間、寒さに縮こまった心と体が解き放たれた。福島県いわき市の温泉施設「スパリゾートハワイアンズ」。「アロハ」という職員のあいさつや、宿泊客の鮮やかなシャツ、ムームー姿に心がなごむ。常夏リゾート仕様のプール周辺の歓声に、わくわく感が高まる。

 意外に幼児が目立つ。若者や高齢者グループが中心だと思っていたが、140万人ほどの年間利用者の約7割は家族客だという。

 子ども連れにも癒やしの空間をと、宿泊施設「ウイルポート」内の「ウェルカムベビールーム」(2室)が2月に改装された。室内に段差がなく、幼児が座りやすい高さのソファに丸形テーブル、ふわふわな照明カバー。お父さん、お母さんも安心だ。

 スタンダード客室も、マットレス寝具の配置が自由に変えられる。妻と息子と訪れた埼玉県川越市の根本克之さん(46)は「寝具をくっつけて家族がぎゅっと寝られるので、ここを選んだ」と話していた。

 にぎわうハワイアンズも、2011年の東日本大震災では大きな被害を受け、約7カ月間の休館を余儀なくされた。

 ステージを失った「フラガール」は街に出た。同年5月から10月まで、避難所をはじめ、26都府県と韓国ソウルで計247回の公演をこなした。13年から約1年間は22都道府県24校でフラの「出前授業」も行った。

ポリネシアンショーでは、フラガールと一緒に踊るフラ体験コーナーもある

ポリネシアンショーでは、フラガールと一緒に踊るフラ体験コーナーもある

 ダンサーのマカレア麻衣さんはキャラバンをこう振り返る。「笑顔で踊っていいのかと悩みました。でも見てくれた方が次第に笑顔になり、逆に元気をもらいました。営業再開後は訪問した場所の方が来てくれ『あの時はありがとう』とうれしい声も。本来関わることがなかったかもしれない人たちとの『きづな』を感じられ、やり通してよかったと心から思いました」

 ハワイアンズの震災後のキャッチフレーズは「きづなリゾート」。人と人がコミュニケーションできる場所と時間を目指し、「離れないようつなぎとめる綱」の意味で「きづな」を使う。

 「きづな」や復興のシンボルとなったフラガールを養成する常磐音楽舞踊学院は、4月に創立55周年を迎える。1月からのショーのタイトルは「全力で、生きる。55 years of “Never Give Up”」。炭鉱閉山や震災の逆境でもあきらめなかった歴史や感謝の気持ちを込めた。

 優雅な動きの踊りやリズミカルなダンスに異国を感じ、男性ダンサーの「ファイヤーナイフダンス」に興奮。フラ体験する子どもたちの笑顔に、こちらまで楽しくなる。

 福島市内の小中学校に通い、今は横浜市に住む菊池勝代さん(74)は、幼なじみ2人と観覧した。「福島は原発事故の風評被害も残る。元気になってもらいたいとハワイアンズに来た。ショーをみて、こちらが元気をもらったわ」

「いわき・ら・ら・ミュウ」の海産物売り場。メヒカリを手にする鈴木さん=いずれも福島県いわき市で

「いわき・ら・ら・ミュウ」の海産物売り場。メヒカリを手にする鈴木さん=いずれも福島県いわき市で

 いわき市小名浜港にある観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」には地元海産物などが並ぶ。ここも震災で壊滅的な被害を受けたが、干物を商う鈴木英一さん(77)は「お客さんはだいぶ戻ってきてくれたよ」と前を向く。街のあちこちに「がんばっぺ いわき」の標語が。震災から間もなく8年。フラガールも街も「全力で、生きる。」姿がすてきだった。

 文・写真 篠ケ瀬祐司

(2019年3月8日 夕刊)

メモ

地図

◆交通
JR常磐線湯本駅下車。
同駅から無料送迎バスがある。
特急「ひたち」で東京から2時間10分程度。
車は、常磐道いわき湯本インターチェンジから約3分。
東京駅、新宿駅などから宿泊客専用の無料送迎バスが運行。

◆問い合わせ
スパリゾートハワイアンズ ナビダイヤル=電(0570)550550

おすすめ

小名浜港

小名浜港

★ウイルポート
スパリゾートハワイアンズ内の宿泊施設。
プールに近く移動がしやすい。
ウェルカムベビールームは大人1人1泊1万7280円から(朝夕食、レジャー施設入場券付き)。
スパリゾートハワイアンズの日帰り入場料は中学生以上3500円、小学生2200円、3歳以上1600円。

★アクアマリンふくしま
東北最大級の水族館。
福島県沖の暖流と寒流の「潮目」を表した三角のトンネル型大水槽がある。
年中無休。
12月1日~3月20日の冬期は午前9時~午後5時。
通常期は午前9時~午後5時半。
入館は閉館1時間前まで。
電0246(73)2525

★いわき・ら・ら・ミュウ
海の幸や土産物の店舗や海が見える飲食店が入る。
小名浜港など市内で水揚げした魚介類なども扱う。
「いわきの東日本大震災展」で震災被害や復旧の様子を紹介。
段ボールで間仕切りした避難所の暮らしを再現したコーナーもある。
午前9時(飲食店は同10時)~午後6時。
月1回休館で、次の休館は4月3日。
電0246(92)3701

※掲載された文章および写真、住所などは取材時のものです。あらかじめご了承ください。

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