ジャンル・エリア : 城 | 愛知 | 歴史 2019年12月25日
国宝犬山城を管理する犬山市は24日、2年がかりの城の保存修理工事を終えた。しっくいを塗り直して内外とも白い壁と黒い柱の対比が鮮やかになったほか、壁や天井の見えない部分に補強材を入れて大地震に耐えられる構造にした。
大掛かりな工事は天守を一度解体して組み直した「昭和の大修理」(1961~65年)以来。今回は部分修理と位置付け、構造的に弱かった2階の床と3、4階の壁の内側に合板を入れて補強した。風雨が原因でずれた丸瓦もふき直した。
このほか、昨年60万人を突破するなど右肩上がりの入場者で摩耗した地下2階から3階までの階段(計45段)に厚さ2.4センチの新しいヒノキ板を重ねて補修した。階段を昇降する際の手跡でできた壁の黒ずみも白く塗り直した。
24日は工事の完了を祝い、金属板に「令和元年12月 部分修理・耐震補強」と刻んで、歴代工事の銘板が並ぶ3階の梁(はり)に取り付けた。
年内に階段の手すりを延長して壁に手跡が付かないように改良し、すり減った4階の赤じゅうたんも取り換える。犬山城を所有する公益財団法人・犬山城白帝文庫理事長で城主子孫の成瀬淳子さんは「元旦からきれいな姿を見てもらえるので、お城も喜んでいる」と笑顔だった。
工事は2018年10月に準備を始め、翌11月に本格的な工事に入り、計1億1000万円を投じた。内訳は入場料(一般550円)で構成する市の犬山城施設整備基金と国補助金がほぼ半額ずつ。
犬山城は12年度から3年かけた耐震診断の結果、震度6強で「直ちに倒壊しないが、部分的に耐震性能が不足する」と判定されていた。
(三田村泰和)