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【岐阜】荒川豊蔵の功績、展示で迫る 可児

ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 工芸品 | 歴史  2021年01月27日

陶片発見に至る出来事を描いた絵などが飾られた会場=可児市久々利柿下入会の荒川豊蔵資料館で

陶片発見に至る出来事を描いた絵などが飾られた会場=可児市久々利柿下入会の荒川豊蔵資料館で

 人間国宝の荒川豊蔵(1894~1985年)が可児市内の古窯で志野の陶片を発見してから、2020年で90年。節目を記念した企画展が、市内の荒川豊蔵資料館と可児郷土歴史館で開かれている。陶芸作品だけでなく、絵や写真なども合わせて展示し、その功績や仕事ぶりに迫る。 (織田龍穂)

陶片発見の経緯に焦点 荒川豊蔵資料館

 荒川豊蔵資料館(久々利柿下入会)では、陶片発見に至るまでの経緯やその後の展開に焦点を当てた「昭和の衝撃、甦(よみがえ)る志野」が開かれている。

 豊蔵は1930(昭和5)年、現在の資料館の敷地内にある古窯でタケノコが描かれた志野の陶片を発見し、桃山陶が瀬戸で焼かれたとの定説を覆した。その後、この地に移り住んで作陶の拠点とし、桃山陶の再現に取り組んだ。

 展示の目玉は、陶片発見の2日前の出来事について豊蔵が描いた絵2点だ。北大路魯山人とともに名古屋に来た豊蔵は、古美術商から志野の茶わんを見せてもらった際、茶わんに付いた赤土から、産地が瀬戸という通説に疑問を抱き、美濃の地へ探索へ向かい、陶片を見つける。絵では魯山人と議論を交わす姿が描かれるとともに、経緯の説明がびっしり書かれ、当時の豊蔵の感動が伝わってくる。

 このほか、可児・東濃地域から出土した陶片を窯跡別に並べたコーナーや、豊蔵が収集した陶片とそれを元に制作した作品の比較展示、陶片発見の経緯を記した当時の月刊誌や新聞記事の紹介などもある。

 学芸員の加藤桂子さんは「陶片発見という出来事にまつわる豊蔵の思いや、それが現在にどのようにつながっているかを理解してもらえる展示となっている」と見どころを語る。

 2月7日、3月7日にはギャラリートークを開催するほか、久々利地区センターでは2月28日、関連講座「陶片に触れよう」を開く。(問)同資料館=0574(64)1461

豊蔵作品と作陶時の写真が合わせて展示された会場=可児市久々利の可児郷土歴史館で

豊蔵作品と作陶時の写真が合わせて展示された会場=可児市久々利の可児郷土歴史館で

各時代の作品を紹介 郷土歴史館では22点

 可児郷土歴史館(久々利)では、各時代、技法の作品を網羅的に紹介する「豊蔵さんの仕事ぶり」を開催している。

 陶片発見から続く豊蔵の仕事の全体像を見てもらうのが狙い。志野、黄瀬戸、瀬戸黒の技法、多治見市の水月窯で制作した茶わんや香合、角皿など22点を展示している。作品とともに制作に励む豊蔵を捉えた写真のパネルも並べ、どのように仕事に向き合っていたのかを垣間見ることもできる。(問)同歴史館=0574(64)0211

 2館とも展示は4月18日まで。各館の入館料は一般210円、高校生以下無料。共通券は310円。原則、月曜休館。