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【岐阜】地産果物が香る本格クラフトジン 岐阜中津川蒸留所が販売

ジャンル・エリア : グルメ | 岐阜 | 果物 | 特産  2021年09月29日

新作のジンを持つサラダコスモ営業本部部長の川口さん

新作のジンを持つサラダコスモ営業本部部長の川口さん

 中津川市千旦林の発芽野菜メーカー・サラダコスモが運営する「岐阜中津川蒸留所」がこの夏、ジンを新発売した。酒の風味付けに近隣や長野県の農家から仕入れたイチゴやレモンを使って独自感を出した。ラベルの絵にも中津川市の画家を起用し、中身も見た目も地元重視のジンができた。 (三田村泰和)

 岐阜中津川蒸留所は2006年に蒸留免許を取得し、「ちこり焼酎ちこちこ」を製造発売している。今回ジンで酒の幅を広げた。

 各地の蒸留所がアイデアを凝らして造るジンはクラフトジンと呼ばれ、昨今注目されている。新たに名乗りを上げた岐阜中津川蒸留所のジンの呼び名は地名を冠した「NAKATSU GIN(ナカツ・ジン)」。アルコール度数50%と強い酒のため、一般的にはソーダや水で割って飲む。

 原酒はサラダコスモが以前から扱ってきたペルーでブドウをもとに造られる酒「ピスコ」。同社が売り出している西洋野菜「チコリ」の根を隠し味に使った。

 7月に第1弾として4種を発売。農家が丹精したイチゴ、マイヤーレモン、ピンクレモネード、バレンタインライムで風味付けした。イチゴは中津川市のフカミファーム、レモン類は長野県喬木村のYanagi Farm(ヤナギファーム)に声を掛けて仕入れた。

なくてはならない蒸留器を示す蒸留責任者の豊岡さん=いずれも中津川市千旦林のちこり村で

なくてはならない蒸留器を示す蒸留責任者の豊岡さん=いずれも中津川市千旦林のちこり村で

 社内で最初にジンに注目したのは川口康三(こうぞう)・営業本部部長(47)。「3年ほど前、フィンランドを旅行したとき、ジンを薦められ、本当のおいしさを知った」。焼酎を手掛けてきた蒸留責任者の豊岡聖之(まさゆき)さん(48)と意気投合。社内に諮って昨年7月にジンを造る免許を取り、本格始動した。郡上市で30代の蒸留家が営むジンでは先輩格の辰巳蒸留所の助言にも背中を押された。

 豊岡さんは「最も大切な蒸留器が既にあるので、新たな設備投資なしでジンに取り組めたのが大きい。果物を使えば絶対うまい酒になると思ったし、季節ごとのボタニカル(植物)の比率を多めにすることで、農家さんの育てた果実の良さがよく分かるジンを実際造ることができた」と話す。

 カモミール、グレープフルーツの風味も追加し、多品種、少量生産で新しい味わいに挑戦していく。ジン造りの口火を切った川口さんは「本当のジン好きに楽しんでもらえる酒になった」と出来栄えに自信を見せた。

 ラベルが酒の個性を際立たせる。両手いっぱいに抱えたフルーツから濃厚な果汁が恵那山をイメージした山に降り注ぐ図柄だ。山から流れ出る川にはアマゴが躍り、阿形(あぎょう)、吽形(うんぎょう)の像さながらに力強くカモシカが両脇に立っている。絵の作者は中津川市の林俊光さん(39)。本職は石材業だが画力を知る豊岡さんがラベルを依頼した。酒のイメージを担う仕事を任され、「めったにできないことをやらせてもらえた」と林さんは話していた。

 500ミリリットル入り、3850円(税込み)。中央自動車道の中津川インターそばの「ちこり村」のほかインターネットでも販売。(問)ちこり村=0573(62)1545