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【滋賀】国内3例目の模様入り金銅製帯金具 大津・穴太遺跡で出土

ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 近畿  2022年10月31日

出土した模様入りの金銅製の帯金具=大津市滋賀里の埋蔵文化財調査センターで

出土した模様入りの金銅製の帯金具=大津市滋賀里の埋蔵文化財調査センターで

 大津市弥生町の穴太(あのう)遺跡で、平安時代の9世紀後半~10世紀ごろの河川跡から、模様入りの金銅製の帯金具が出土したと市文化財保護課が発表した。金沢市の畝田ナベタ遺跡、前橋市の鳥羽(とりば)遺跡に次いで国内3例目。模様などから、国外から渡ってきた品とみられる。

 課によると、帯金具は唐の制度にならい、律令(りつりょう)制の貴族や役人が階級を示すために帯に付けた。出土したのは縦2.7センチ、横3.2センチの長方形で、帯の側面に付けた「巡方」と呼ばれる飾り。表面の中央上部に「忍冬文(にんとうもん)」と呼ばれる花模様が刻まれ、左右に植物を模した「唐草文」が広がる。

 京都国立博物館の科学分析で、帯金具から金や銅、鉛、スズを検出した。当時は石製が主流で、国内では金属製の帯金具はほとんど見られなかった。

 東北アジアの考古学が専門の金沢学院大の小嶋芳孝名誉教授は、出土品の模様やデザインの特徴が、中国北東部の契丹(きったん)の帯金具に似ているとし「契丹と文化・経済的交流が9世紀末ごろに盛んだった渤海を通して渡来したのではないか」とみる。

 小嶋名誉教授によると、奈良時代から平安時代にかけて、渤海と日本は北陸の諸国を窓口に交易。穴太遺跡には北陸と都を結ぶ古代北陸道が通り、拠点となる駅家も置かれた。小嶋名誉教授は「渤海使が北陸から都へ向かう道中に、宗教的な儀式で供えたのではないか」と推測した。

 出土した帯金具は、大津市滋賀里の埋蔵文化財調査センターで開催中の「大津むかし・むか~し」で11月11日まで展示する。午前9時~午後5時。土日祝日休館。無料。 (加藤涼太郎)

帯金具が出土した穴太遺跡の河川跡=大津市弥生町で

帯金具が出土した穴太遺跡の河川跡=大津市弥生町で