ジャンル・エリア : 展示 | 岐阜 | 歴史 2022年09月15日
旧春日村(揖斐川町春日)出身の郷土史家、大久保甚一さん(1936~2016年)の家族から今年7月に寄贈された書籍や資料を紹介する「寄贈本特別展」が、揖斐川町上南方のいびがわ図書館で開かれている。村の歴史をひもとくため大久保さんが収集した資料計70点が並ぶ。10月8日まで。 (市川勘太郎)
大久保さんは、玉川大文学部を卒業後、教員として勤めた。同町春日香六の自宅に「春香文庫」を構え、数千冊の書籍を収集。著書に「美濃国春日谷合戦史」や、福田秀一さん(日本中世文学)と共著の「小島のすさみ」がある。
旧春日村は、西側を峠に囲まれ、東側は川によって削られたV字谷で、人の往来が分かる地形的特徴がある。大久保さんは村内の美束や古屋で稲作ができ、逃げたり隠れたりすることもできる場所として、歴史の舞台になりやすかったとみる。
展示では、大久保さんが主張する5つの案をブースごとに紹介。このうち、御伽草子(おとぎぞうし)の酒呑童子(しゅてんどうじ)は一般的に京都市の大江山生まれとされるが、伊吹山で生まれ育ったと主張。伊吹山が舞台になっている本や、国立国会図書館蔵の「伊吹童子」を調べている。
関ケ原合戦(1600年)で敗れた石田三成率いる西軍の武将、宇喜多秀家や小西行長は、春日に落ち延びたと唱える。小説家遠藤周作から届いたはがきもある。
宮脇恭顕(やすあきら)館長は「自説の根拠になる記述を見つけるため、とことん調べている。春日の歴史をひもといたことを資料から感じ取ってほしい」と話している。
午前9時~午後5時半。毎週月曜と27日~10月3日休館。(問)図書館=0585(22)0219