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【石川】「雪は天から」初出の掛け軸か 中谷宇吉郎自筆3点初公開

ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 石川  2023年01月12日

中谷宇吉郎が門下生の孫野長治に贈った墨絵の掛け軸3点=加賀市潮津町の中谷宇吉郎雪の科学館で

中谷宇吉郎が門下生の孫野長治に贈った墨絵の掛け軸3点=加賀市潮津町の中谷宇吉郎雪の科学館で

▼加賀・科学館

 加賀市片山津温泉出身の物理学者中谷宇吉郎(1900~62年)が門下生に贈った墨絵の掛け軸3点が市に寄贈された。うち1点は中谷の代名詞とされる「雪は天から送られた手紙である」の一文が記され、これまでこの言葉が確認された掛け軸で最も古く、初出の可能性が高いという。中谷宇吉郎雪の科学館(同市潮津町)は12日から、3点を初公開する。 (小室亜希子)

 3点は、小松市出身の物理学者孫野長治(1916~85年)の妻・知恵子さんが昨年11月に寄贈した。孫野は小松中学校(現小松高校)、旧制四高(現金沢大)を卒業後に北海道大に進み、中谷研究室の助手となった。戦後、横浜国大教授を経て北大に戻り、実質的に中谷研究室を引き継いで雲物理学や雷に関する研究で成果を上げた。

 「雪は…」の掛け軸には、雪の結晶の墨絵とともに「送孫野君壮行」と書き添えられている。1941(昭和16)年1月に描かれており、翌月に出征を控えた北大助手の孫野(当時25歳)のために中谷が贈ったとみられる。

 科学館によると、中谷は墨絵の掛け軸を多くの門下生や友人らに贈った。これまで確認された「雪は…」の掛け軸の中では、親友の高野与作に41年3月に贈った掛け軸が最も古く、初出とみられていた。

 このほか中谷が講演のために帰郷した際に宿泊した称名寺(小松市)で門下生らに描いたとみられる墨絵や、横浜国大教授に出向く孫野に仲間と贈った墨絵がある。

 石川真知子学芸員は「雪の研究だけでなく、随筆や絵画などに多彩な才能を発揮した宇吉郎の素晴らしさを本物の資料から感じ取ってほしい」と話した。展示は31日まで。午前9時~午後5時(入館は4時半まで)。水曜休館。