ジャンル・エリア : 展示 | 歴史 | 近畿 2023年02月01日
多賀町多賀のギャラリー「松宮書法館」で、明治から昭和に国政で活躍した政治家の書を集めた企画展「政治家と書」が開かれている。館長の松宮貴之さん(51)による研究成果の一部で、一般向けの公開は初めて。5日まで。
会場には、「松方財政」を展開した松方正義や、五・一五事件で暗殺された犬養毅、戦後に活躍した吉田茂、岸信介、佐藤栄作など首相経験者らを中心とした10人の書が並んでいる。
吉田茂の書には「不君而自来(君ならずも、自ずと来たる)」とある。松宮さんによると、組閣の直前に公職追放となった鳩山一郎の後に首相になったことを踏まえた内容として解釈できるほか、「自分は立派な人間ではないが、おのずと友達が来る」とも解釈できるという。
大正時代の首相清浦奎吾は、感情を抑えてゆっくりと筆を動かしたとみられ、松宮さんは「理性的なあり方を重視した朱子学に精通していた清浦の特徴が表れている」と評価している。
松宮さんは、近現代の日本や中国で活躍した政治家の書を研究し、世界の古美術を特集する月刊誌で連載も続けている。「何をどのように書いたかという点から、その人の生身の姿が見えてくる」と話している。
午前10時~午後5時(入館は午後4時半まで)。入館料は500円。多賀町在住者は無料になる (渡辺雄紀)