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【滋賀】「八幡商人」活躍の足跡 4商家に焦点、彦根で企画展

ジャンル・エリア : 展示 | 文化 | 歴史 | 近畿  2019年11月13日

八幡商人の商いや暮らしについての史料が並ぶ会場=彦根市馬場で

八幡商人の商いや暮らしについての史料が並ぶ会場=彦根市馬場で

 彦根市馬場の滋賀大経済学部付属史料館で、企画展「八幡から商う 八幡で暮らす」が開かれている。近江商人の中でも、日野商人や湖東商人に先駆けて活躍した八幡商人を特集。4つの商家を取り上げ、それぞれの商いや生活の様子を紹介している。22日まで。

 八幡商人は、八幡(現・近江八幡市)出身の近江商人の総称。江戸をはじめ、東北や九州地方など各地に進出して商売していた。

 北海道で活躍していたのは、西川伝右衛門家や岡田弥三右衛門家ら。アイヌ民族の人たちとの交易や漁業経営などをしていた。

 西川家の史料によれば、蝦夷地で採れたナマコの加工品や昆布を長崎へ出荷。長崎の支配方が中国や琉球へ輸出していた。輸送に携わっていたのはアイヌの人々で、北海道の現地でも労働力としてアイヌの人たちを雇用。商いを通したアイヌとの深い関わりが分かる。

 岡田家の史料からは、八幡や大阪などへ品物を発注し、松前(現・北海道松前町)の店で販売していた記録も。八幡には、東近江市の「政所茶」や、岐阜県の美濃紙などを発注。現在に続く特産品を、いち早く取引していた。

 西川家、岡田家のほか、東日本で活躍した谷口家と市田家の史料も展示。商いに関する史料のほか、当時の生活が垣間見られる文書も並ぶ。祝儀の際は、タイやスルメのほか、湖魚のモロコを贈るといった近江ならでは風習や、現在も継承され続ける左義長まつりに関する記録など、当時の暮らしを伝えている。

 青柳周一館長は「近江八幡市には、近江商人が活躍した当時の風情を伝える街並みや、一般に公開している商人屋敷もある。企画展を見た上で散策すると、商人の歴史をより身近に感じられるはず」と来場を呼び掛けている。

 午前9時半~午後4時半。14、22日午後0時半から、青柳館長のギャラリートークを開く。土、日、祝日休館。

 (安江紗那子)