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【愛知】大河ドラマで注目、家康が攻略の「上ノ郷城」 蒲郡で復元模型を展示

ジャンル・エリア : まちおこし | 工芸品 | 愛知 | 歴史  2023年02月01日

上ノ郷城の復元模型を紹介する小林館長=蒲郡市の西部公民館で

上ノ郷城の復元模型を紹介する小林館長=蒲郡市の西部公民館で

 NHK大河ドラマ「どうする家康」の放送に合わせ、戦国時代の豪族・鵜殿氏の居城で、松平元康(後の徳川家康)が攻略した蒲郡市神ノ郷町の上ノ郷城の復元模型が、同町の西部公民館で公開されている。市博物館の元学芸員が作り、西部小学校で保管していたが、多くの人に見てもらおうと移した。担当者は「蒲郡にかつて存在した城に光が当たってほしい」と期待する。

 鵜殿氏は戦国時代に三河を支配した今川氏に従属し、標高52メートルの丘の上に築かれた上ノ郷城は三河湾を望める重要なとりでだった。天守閣や石垣がある近世の城と異なり、土を盛って造った土塁や堀を備えた。

 城跡に建物は残っておらず、市教委は2007年から発掘調査を進めた。土の中から皿や柱の飾り金具などが見つかり、柱の穴や井戸の跡も確認された。模型は調査を主導した元市博物館学芸員の小笠原久和さん(故人)が12年に作り、博物館の企画展で展示した後、西部小に寄贈していた。

 ドラマ開始に合わせ、今月5日から公民館で公開を始めた。堀で囲まれた高台にある城内に本丸などの平屋の9棟が並び、はしごの付いた物見櫓(やぐら)も。「上ノ郷城の堀は深く、斜面も急な坂になっている。強固な城だったことが分かる」と公民館の小林至館長(75)は説明する。

 桶狭間の戦いの後、三河統一を目指した元康が攻めたのが、鵜殿の4代長照が守る上ノ郷城だった。なかなか攻め落とせなかった元康は城の北側の名取山に陣を置き、忍者を使って夜間に攻め入り、1562年に陥落したと伝わる。

 鵜殿氏は現在の三重県をルーツとする一族で、熊野神社が管轄した上ノ郷の荘園を守るため、15世紀にこの地に派遣されて定住したという。「上ノ郷は城の近くに兼京川が流れるなど水が豊かな地域で、一帯は稲作が盛んだったとされる」と小林さんは解説。「鵜殿氏の成り立ちを知ると、さらにドラマが面白くなる」と語る。

 模型の公開は12月26日まで。西部公民館の開館は火~土曜の午前9時~午後4時(正午~午後1時は休憩)。(問)同公民館=0533(68)7233

 (西山輝一)