ジャンル・エリア : 富山 | 展示 | 工芸品 | 文化 2023年03月23日
高岡市博物館は、館蔵品展「昔の道具とくらし」を同館で開いている。今回は「嫁のれん」を特別展示している。7月9日まで。 (武田寛史)
嫁のれんは、花嫁のれんと呼ばれ、幕末から明治初期に加賀、能登、越中に伝わった嫁入り道具。婚礼当日に嫁ぎ先の仏間の入り口に掛け、新婦はのれんをくぐって仏壇参りをし、結婚式に臨んだ。
展示している「牛車・唐子文友禅染嫁のれん」と「宝船文友禅染嫁のれん」は初公開。牛車(御所車)と唐子3人、宝船と鶴のおめでたい絵柄が染められている。のれんの上部には新婦の母方の家紋(おんな紋)が染め抜かれている。
同館の宇川恵里主任学芸員は「見る機会もなくなった嫁のれんを見てこういう風習があったことを知ってほしい。嫁入りされた昔を思い出してもらうきっかけになれば」と話す。
ほかにも、婚礼後にあいさつ回りで赤飯やもちを近所などに届ける時に使った家紋入りの重箱、「水合わせの儀」で新婦の実家の水を入れる「水合わせの竹筒」なども並ぶ。
展示は明治−昭和期の衣食住に関わる民具68点を紹介している。日本で初めて製造された大正時代の「デルビル磁石式壁掛(かべかけ)電話機」も展示している。受話部と送話部が別々で、ハンドルを回して磁石式発電で電話交換手に連絡して通話した電話機などがある。
開館時間は午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)。月曜休館。入館無料。