ジャンル・エリア : 岐阜 | 神社・仏閣 | 自然 2023年05月24日
関市板取の称名寺境内に4月、1日1組限定の「寺子屋サウナ」がオープンした。テントサウナや水風呂、休憩用の椅子などを貸し出す形で、本堂前の一角にスペースを設けた。大自然に囲まれ、落ち着いた心地で「ととのう」ことができる。土日には座禅や抹茶もセットとなっており、非日常のサウナ体験が楽しめそうだ。(秋田耕平)
まきストーブを熱源とするテントサウナは、最大で110度の高温に達する。ストーブの上には、長野県の御嶽山麓で産出される安山岩「御嶽黒光真石(こっこうまいし)」をサウナストーンとして置く。そこに水をかけると蒸気が出て、フィンランドに伝わるサウナ入浴法「ロウリュ」が楽しめる。
水は一般的にアロマオイルを混ぜることが多いが、寺子屋サウナではほうじ茶を入れる。香ばしいにおいがテント内に充満し、発汗を促すと同時にリラックスもできる。今後はヒノキやクロモジ、ヨモギを使ったロウリュを提供する考え。
サウナから出ると、待ち受けるのは水風呂。ヒノキの浴槽で、水は板取川支流の上流からくみ上げる。最後はリクライニングチェアに座ると、大自然に囲まれた環境で「ととのう」ことができる。綿100%のサウナポンチョやサウナハット、サウナマットも貸し出す。体験は2時間。土日はサウナの前に、寺の本堂で座禅と抹茶の体験が30分間あり、心身を整えることができる。
板取地区を含む板取川流域では近年、アウトドアやサウナのブームを背景に、テントサウナ場が複数できている。元々アウトドア好きだった副住職の高井良樹さん(31)が寺や地域の活性化のためになればと境内にテントサウナブースの開設を模索した。
そこで高井さんが目をつけたのが仏教の教えにある「温室(うんしつ)経」。温室は蒸し風呂の一種で、僧侶が体を清めるために沐浴(もくよく)する際に使ったとされる。教えでは「七物」を用いて沐浴することで、「七病」を除き「七福」を得ることができると説かれている。高井さんは寺とサウナは近い関係にあると考え、開設することにした。高井さんは「寺離れも進んでいるので、サウナをきっかけに若い人が少しでも興味を持ってくれれば」と期待する。今後はサウナとセットで写経なども取り入れたい考え。
高井さんは「現代はデジタルでいつでもどこでもつながる時代だが、そこから離れて、ゆっくりと自然を味わってほしい」と話す。1組4人までで、料金は人数によって、平日6000~1万4000円。座禅体験がつく土日は7000~1万8000円。公式LINE(ライン)から予約を受け付ける。