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【石川】風景眺め美味を堪能 のと里山里海号 石川県

ジャンル・エリア : グルメ | 乗り物 | | | 特産 | 石川 | 自然 | 鉄道  2023年07月27日

青い塗装が印象的な「のと里山里海号」

青い塗装が印象的な「のと里山里海号」

 石川県の能登地方に行こうと思いました。地震が続き、観光客の足が遠のいていると聞いたためです。「枯れ木も山のにぎわい」ですよ。

 お目当ては「のと鉄道」。七尾駅(七尾市)から穴水駅(穴水町)まで約33キロを走り、駅が全部で8つだけの第三セクター鉄道です。

 午前10時過ぎ、金沢駅からJR七尾線で七尾駅へ移動。駅のホームにはもう観光列車「のと里山里海号」が着いていました。土・日と祝日に運行し、運賃のほかに500円の乗車整理券を買うと乗れます。今日は日帰りで、往復とも乗りましょう。

 車内にはアテンダントさんたちも乗っていて、沿線周辺の見どころなどをアナウンスしてくれます。また「ここが見どころ」という場所では、しばらく停車してじっくりと風景を眺めさせてくれます。その一つが深浦漁港。なかなか風情のある港です。

 
「のと里山里海号」の車内と車窓の風景

「のと里山里海号」の車内と車窓の風景

 車内のもう一つの楽しみはおいしいもの。今回は行きに「寿司(すし)御膳プラン」を、また帰りは「スイーツプラン」を予約してみました。どちらもこの列車限定のプランです。

 まずは、寿司御膳。七尾の名店「信寿し」さんが作ってくださるお弁当です。信寿し。名前がいいですね。以前、金沢のお寿司屋さんでカウンターにおりましたら、隣の席にいた地元の初対面の男性が「もし七尾に行くならぜひ食べてくるといいよ」と力説されたお店です。

 何が入っているのかな? この日は能登ふぐの唐揚げ、のどくろの塩焼き、赤西貝のぬたなどの料理と、お寿司は白身の昆布締めや煮アワビ、カニ身、甘エビに海鮮巻き-などなど。ごちそうですね。車窓の風景を眺めるのは少し後にして、おいしくいただくことにしばし没頭しました。

 1時間ほどの乗車で列車は穴水駅へ。穴水町はワインや牡蠣(かき)で有名な町です。今回はとんぼ返りですので、あまり散策はできませんでしたが、駅舎は至るところにツバメの巣がかかっていて、ちょうど巣立ったばかりの幼鳥たちが元気よく飛び交っています。

おいしいものぎっしりの「寿司御膳」

おいしいものぎっしりの「寿司御膳」

 大事にされているんだな、ツバメたち。最近はツバメの巣があると汚れるというので巣をかけられないようにするところもありますが、穴水の皆さんは実に優しいです。

 帰りの列車では、スイーツプランが待っています。地元七尾出身の有名パティシエ・辻口博啓さんによるお菓子のセットに飲み物がつきます。正直に書けば「地震は大丈夫かな」と心配しつつ出かけた能登地方でしたが、次はぜひ泊まりがけで来たい、と思う「のと里山里海号」の楽しい一日となりました。

 地震の状況にもよりますが読者の皆さまも夏休みなどを利用し、ぜひ能登にお出かけください。 (三品信)

 ▼ガイド 「のと里山里海号」の写真は、撮影の都合で帰路に途中の駅で撮りました。七尾-穴水間の料金は、運賃が大人850円、こども430円です。これに乗車整理券(500円)が必要になります。「スイーツプラン」は1人1800円、「寿司御膳プラン」は1人2550円で、6日前までに予約が必要です。乗車や各種プランの予約は、のと鉄道観光列車予約センター((電)0768・52・2300、前10時から後5時まで、火曜定休)へどうぞ。

(中日新聞夕刊 2023年7月27日掲載)