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【富山】パンダコースと美酒と 山川シェフに会いに行く 富山市

ジャンル・エリア : グルメ | 富山 | 特産  2023年08月24日

一つ一つ手の込んだ前菜のセット

一つ一つ手の込んだ前菜のセット

 若い同僚の小原健太記者が「ぼく、行く行く詐欺です」とつぶやいていて、何かなと思えば「豊橋総局にいた頃、よく行った中華料理のお店のスタッフが、富山市で自分の店を開いたんですよ。『一度行くよ』って言いながらもう開店3周年なんです」とか。

 さらに聞けばどちらの店も「化学調味料を使わないで、素材が持つ本来の味を生かすのが特徴なんです」とも。

 これはぜひとも行かねばと思うのですが、豊橋市の方のお店は、同じ愛知の新城市の自然豊かな山あいの地に移転されたとのこと。マイカーのない私は、電車を乗り継いで富山に行ってきました。

 まずは、市の中心街に立つ「富山市ガラス美術館」へ。ここは図書館と一体になった施設で、アートの好きな人も読書の好きな人も楽しめる、とても優れた施設です。富山市民がうらやましいです。

 -などと言いつつも、心はそのお店「月とパンダ」へと向かっているのでした。

 美術館から大通りを渡り、商店街に入ればすぐ。小さなビルの2階にあるお店です。

 この日はランチタイムでもOKという「パンダコース」を予約してあります。最初は月の形をしたお皿に盛られた前菜。冷たいマーボー豆腐、中トロの四川ピリ辛ソース、ザーサイとキュウリであえたチャーシューなど計6種類。どれも自家製の調味料がよく効いています。

お箸で食べられるほど柔らかい牛タンの煮込み

お箸で食べられるほど柔らかい牛タンの煮込み

 近くの席では地元のマダム2人がランチを楽しんでいて「前からおいしいって聞いていたんですよ」と、シェフに話しかけています。

 次いで、ユズ香る酸辣湯(サンラータン)。紅ズワイガニのシューマイとアサリとズッキーニのバターシューマイ。どれもみな深い味わいで、感激します。

 メインは牛タンのやわらか煮込みです。おはしがすっと入るほどの柔らかさ。それに合わせて、お薦めの酒「にいだしぜんしゅ」を注文しました。農薬や化学肥料を一切使わずに栽培した酒米を使って醸す、福島県郡山市のお酒です。このお店の味にも理念にもぴったりのお酒で、シェフにお願いをして、瓶を持ってもらいました。

 シェフの山川智史さんは、富山市の出身。福島県で会社勤めをしていた2011年、あの大震災に遭遇しました。苦難の中、山川さんが作ったお好み焼きを会社の同僚らがおいしく食べる姿を見たのがきっかけで、料理の道に転向したそうです。「名古屋から来ました」と自己紹介するととても喜んでくれました。

「にいだしぜんしゅ」を手にする山川シェフ

「にいだしぜんしゅ」を手にする山川シェフ

 豊橋の皆さん、山川さんは富山で元気に活躍中ですよ。ぜひ一度どうぞ。 (三品信)

 ▼ガイド 「月とパンダ」は富山市西町4の21。予約・問い合わせは(電)090(4929)1752へ。木曜定休です。ちなみに小原記者は、私の出かけた翌日、ついに訪問できたそうです。また富山市ガラス美術館は同市西町5の1、(電)076(461)3100。開館日や開館時間など詳細は同館のホームページで。2階にあるミュージアムショップは工芸品や文具など充実の品ぞろえで、おみやげ探しにもぴったりです。

(中日新聞夕刊 2023年8月24日掲載)