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【福井】鉄道員が丹精込めて作る「夏イチゴ」 夢は福井の特産品、甘さに自信

ジャンル・エリア : グルメ | 果物 | 特産 | 福井  2023年09月07日

「レールベリー」のビニールハウスで実った夏イチゴ=福井市大瀬町で

「レールベリー」のビニールハウスで実った夏イチゴ=福井市大瀬町で

 福井市大瀬町のビニールハウスで、今年6月に植え付けられた夏イチゴ品種「なつあかり」の収穫が始まった。ふんだんに使ったスイーツも県内の菓子店に並び出した。丹精を込めて栽培するのは福井市の池田康成さん(28)。「夏イチゴを福井の特産品にしたい」という夢に向けて着実に歩みを進めている。

 ビニールハウスには1800株ほど植え、8月23日に初めて収穫。重さは10~15グラムほど。ヘタ付近に白い部分が少し残っているのが取り頃という。平均糖度は11~12度で、池田さんは「一般的な夏イチゴよりずっと甘い」と自信を見せる。

 生産物の一部は、坂井市春江町の菓子店「西勘堂」に提供。市内2店舗で、ショートケーキ(税込み500円)、タルト(同530円)、ブラマンジェ(同420円)の3種類が販売されている。同社の西畑雄介専務取締役は「福井産と聞き、使ってみたいと思った。甘みがしっかりあり、夏イチゴの良さを引き出せるように作った」と話した。

 池田さんは4月に個人事業主として開業した。普段は来春から県内で並行在来線の運行を担う第3セクター「ハピラインふくい」で勤務し、6月から同僚らの助けも借りながら兼業の形で栽培している。「鉄道員が作るストロベリー」という意味で、屋号を「レールベリー」と名付けた。

西勘堂で販売されている「レールベリー」の夏イチゴを使ったスイーツ=坂井市春江町の西勘堂本店で

西勘堂で販売されている「レールベリー」の夏イチゴを使ったスイーツ=坂井市春江町の西勘堂本店で

 糖度・品質の高い夏イチゴは安定生産が難しいとされる。福井の気温の高さが課題だったため、池田さんは冬の融雪用に使う地下水を利用。水温15度前後の冷水で茎や土を冷やすなどし、栽培に適した環境をつくった。

 池田さんは「受粉のためのハチがうまく飛ばない、花が咲かないといった懸念はクリアできた。福井で夏イチゴが生産できることが証明できた」と手応えを感じている。

 夏イチゴの収穫のピークは10月で、1日10キロほど取れると見込む。現在の課題は実を大きくすることと販路の拡大。池田さんは「今が正念場。夏イチゴを知らない人もいるので、周知活動を含めて取り組む必要がある」と力を込めた。

 西勘堂の営業時間と休日は、本店が午前8時~午後8時・木曜日定休、アミ店が午前9時半~午後8時・不定休。問い合わせは西勘堂のインスタグラムのアカウントまで。

 (曽根智貴)