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【三重】創業90年、老舗の青果店を救ったのは…伊勢「なかこう」の新名物が評判に

ジャンル・エリア : グルメ | 三重 | 果物  2023年09月22日

スムージーを手に笑顔を見せる中村雅美さん(右)、日衣子さん夫妻

スムージーを手に笑顔を見せる中村雅美さん(右)、日衣子さん夫妻

 伊勢市の浦之橋商店街にある1930(昭和5)年創業の「なかこう青果店」のスムージーが、地元の若者らを中心に人気となっている。新型コロナウイルス禍で売れ残った野菜や果物を無駄にしないため販売を始めたところ、大きな評判に。窮地の老舗を救った商店街の新名物だ。 (清水大輔)

 この店でスムージーは、急速冷凍した果物と野菜をミキサーで砕いて作る。メープルシロップや無添加のヨーグルト、レモン汁のみを使い、素材本来の味を引き出す。シャーベット状の食感が特徴で、カットした白桃がのったスムージーや巨峰を使ったものなど16種類の商品がある。価格はどれも900~1000円。

 考案したのは、3代目社長中村雅美さん(59)の妻、日衣子(ひいこ)さん(60)。店は地元の飲食店や小学校の給食用にも青果を売っており、2020年にコロナ禍で飲食店が休業し、学校が休校になると多くの在庫を抱えるようになっていた。雅美さんは廃業も検討していたという。

店で人気のモモのスムージー(手前)とブドウのスムージー=いずれも伊勢市常磐のなかこう青果店で

店で人気のモモのスムージー(手前)とブドウのスムージー=いずれも伊勢市常磐のなかこう青果店で

 日衣子さんは「90年も続いてきた店をここで閉めるわけにはいかない」と手伝うようになった。在庫を有効活用しようと試しに作ったのがスムージーだった。傷のある青果も使える上、健康にも良い。宣伝のために20代の娘に交流サイト(SNS)の使い方を教えてもらい、画像を投稿するとフォロワーからの評判が良かった。

 自信を深めた日衣子さんは、店を改装してイートインスペースと調理場を設け、21年春にスムージーの販売を始めた。店の前には行列ができ、多い日には1日150杯が売れた。

 日衣子さんはあまりの盛況ぶりに「目新しさに引かれたのかしら」と思っていたが、その後も足しげく通う「リピーター」は着実に定着している。かつては地元の高齢者が主な顧客だったが、今では若いカップルやサラリーマンたちもよく訪れる。雅美さんは「店がこうして復活するとは夢にも思わなかった」と驚く。

 日衣子さんは「もっと多くの人に、お店の野菜や果物のおいしさを味わってもらいたい。これから八百屋が生き残るためにできることはなんだろうかと、もう少し模索したいな」と語る。2号店の開店という新たな目標に向け、スムージーの新商品の開発やフルーツを盛り合わせた贈答用の「ベジギフト」などの販売にも力を入れている。

 県道鳥羽松阪線の常磐交差点から南へ150メートル。営業時間は午前8時半~午後6時。日曜定休。(問)なかこう青果店=0596(28)2305