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【三重】松阪牛だけじゃない、新ブランド「松阪豚T220」 名前の由来に旨みの秘密

ジャンル・エリア : まちおこし | グルメ | 三重 | 特産  2023年12月07日

松阪豚T220の肉を披露する橋本さん=松阪市高町のまつぶたで

松阪豚T220の肉を披露する橋本さん=松阪市高町のまつぶたで

 松阪牛だけじゃない、松阪のおいしい豚肉や茶を知ってほしい-。そんな願いを込め、茶葉を餌に育てたブランドポーク「松阪豚T220(ティーニーニーマル)」が5日、発売された。生産するのは、同市高町の豚肉生産販売業「松阪豚専門店 まつぶた」。社長の橋本妃里(ひさと)さんは昨年11月、高齢化で閉業する畜産農家から事業を引き継ぎ、餌代の急騰を乗り越え商品化にこぎ着けた。

 豚肉なのに細かなサシが入っている。口に入れるとコクのある脂がとろけ、臭みもない。橋本さんが手がける松阪豚T220の特徴だ。専門機関の味覚分析で、一般的な豚よりもうまみが強く、後味がすっきりしていることが分かった。T220は、市のブランドに認定されている「松阪豚」に茶葉を与えて育てる。

 松阪市西部は県内有数の茶の産地で、茶畑が広がる。橋本さんは今年、その一角にある茶生産販売業「深緑茶房」の関係者と意気投合し、同社の協力を得られることに。松阪茶を飼料にした豚を育て始めた。

 豚には生後150日ごろから、乾燥させた茶葉「荒茶」を与える。橋本さんによると、お茶を餌にした豚を育てる例は全国にあるが、液体のお茶を使う場合が多く、茶葉自体を餌にするのは珍しい。

 公募で決めた新ブランド名T220は、茶を意味する「Tea」と肥育期間の220日を表す。有名なブランドポーク「トウキョウX」のように、印象に残りやすい名前にした。

 そもそも松阪豚は、市郊外にあった畜産農家「山越畜産」が約60年前に開発、生産していたブランド。山越畜産が独自で開発した「種豚」から生まれた豚を育てる。一般的な豚の肥育期間より1~2カ月ほど長い220日をかけ、ゆっくりと太らせることで、均質なサシが入った脂と赤みのバランスが良い肉になる。

 山越畜産から生産を引き継いだ橋本さんも、松阪豚に魅了された1人だ。2016年、そのおいしさに衝撃を受け、電子部品製造の会社員から転身。市内で松阪豚の精肉や総菜を売る店「まつぶた」を始めた。

 昨年11月には、経営者の高齢化で閉業の危機にひんした山越畜産から生産を継承した。養豚は未経験。しかもロシアのウクライナ侵攻や円安で、餌となる麦や大豆の値段が急騰した時期だった。それでも「山越さんの豚を絶やすわけにはいかない」と耐え忍び、出荷にこぎ着けた。そんな苦労の中「さらに松阪豚を盛り上げよう」と思い付いたのが、松阪のもう一つの特産品「松阪茶」を使った新ブランドポークだ。

 橋本さんは「市内では牛や豚の農家が減りつつある。そんな中でも、松阪を『牛も豚もお茶もおいしいまち』として盛り上げたい」と意気込んでいる。(問)まつぶた=0598(30)8029

 (奥村友基)